若い音楽家の“卵”に演奏ステージの場を提供してきた「かもめコンサート」が20回目の節目を迎え、記念コンサートが9日に小田原三の丸ホール(小田原市本町)で開かれる。この10年間で巣立った音楽家らが一堂に会してアンサンブルの音色を響かせる。
かもめコンサートは2013年、市内在住だった作曲家石井歡さんの功績をたたえてその教え子らの手でスタート。石井さんは管弦楽曲や合唱曲など幅広く手がけ、1994年には勲三等瑞宝章も受章したが、2009年に88歳で亡くなった。
遺族が13年、石井さんの愛用したグランドピアノを市立かもめ図書館に寄贈。石井さんが生前、後進の育成に熱心だったことから遺志を継ぎ、ステージの出演機会に恵まれない県西部在住の若手音楽家を呼んでソロリサイタルが開かれるようになった。
これまでコンサートには石井さんのピアノが演奏に使われ、ピアニストだけでなくバイオリン奏者やテノール歌手らも出演。21年の第17回からは三の丸ホールの完成で会場を図書館から移した。