ゼノ修道士が少年の頃、彼の家からは隣の村より隣の国ドイツの方が近くにありました。
その頃のポーランドでは肉、ハム、バター、卵がドイツよりとても安く手に入り、逆にドイツでは時計、ビール、たばこがポーランドよりとても安く手に入りました。 そこでお互いに安く物資を手に入れようと、ゼノ少年とドイツの少年との間で密貿易が始まりました。 その頃の国境は、しるしとなる杭がところどころに立っているだけの場所もあったので、放牧した牛が国境を越えていくのを追いかけていくというていで越境して、取引をしました。
万が一、監視兵に見つかっても、「おとな はいったト 刑務所。ぼーや はいったト 兵隊おこるだけ」で済んだとゼノ修道士は当時を振り返っています。
聖母の騎士 2023年6月号より掲載