新聞報道を教材に多様性教育を実践する京都先端科学大付属高校(京都市)が20日、横浜市中区のニュースパーク(日本新聞博物館)で、授業の一端を紹介した。約40人が受講し、気付かないうちに身に付いた先入観について考えた。
メディアが発信してきた「多様性」に着目する企画展が同所で開かれており、その一環。
同校は2月、「ジェンダー(社会的・文化的性差)と多様性」や「無意識の偏見」について考える授業を始めた。教材は京都新聞が展開するジェンダーの企画報道など。担当する伊吹侑希子教諭がこの日、授業を再現して紹介した。
例えば、「恋愛」の定義について考察。伊吹さんは「新明解国語辞典」(三省堂)で当事者が「一組の男女」(1972年)から「特定の異性」(81年)、「特定の相手」(2020年)と性別が明記されなくなった変遷を紹介。「多様性の実現は無意識の偏見に気付くことから」と伝えた。
企画報道に関わる京都新聞報道部の大西幹子記者も、企画化の経緯や報道の狙いを説明。「性にまつわる話題はタブー視されがちだが、メディアが積極的に発信すれば変えられる」と話した。
企画展は5部構成。明治以降の人権意識の醸成や女性の社会進出の歴史などについて新聞報道で振り返り、メディア内部の変化についても紹介している。8月20日まで。