神奈川県小田原市内の桜の老木が今年2月に強風の影響で倒れたことを受け、市は来年3月までに市が管理する街路樹の桜の1割に当たる38本を一斉に伐採する。樹木診断で桜の街路樹の2割に倒木などの危険性があるとされ、市は順次植え替えを進める考えだが、1本を残してほぼ全て植え替えとなる桜並木もあり、来春には地域の桜の名所が大きく様変わりする可能性がある。
小田原城から南へ400メートル離れた「西海子(さいかち)小路」。古く江戸期には武家屋敷が並び、明治時代の元勲たちが別邸を構えたエリアで、1987年にはソメイヨシノ46本が植えられ、400メートルに渡る桜のトンネルが地域の名所となっていた。
しかし今年2月19日に7メートルの老木が倒れ、けが人はなかったものの、通りは3時間にわたって封鎖された。横浜で風速13.9メートルを記録するなどしたこの日の強風が原因とみられている。
市は2022年から市が管理する街路樹の桜約370本のうち、市道10カ所の桜並木にある309本を診断。うち2割の68本で老木化が進み「不健全」状態と判定された。西海子小路も倒木した木を含めて全体の3分の1の16本に倒木の可能性が指摘された。
倒木事故を踏まえて老木の一斉伐採を決めた市は、6月の一般会計補正予算案に業者委託料など約1800万円を計上。「不健全」68本のうち、緊急性の高い38本を本年度中に根元から伐採するほか、16本の枝を切って安全性を確保する。