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2023年12月3日に公開された動画では、朝日新聞政治部記者の今野忍さんをお迎えして「池田大作氏の死去と公明党の今後」を解説していただきました。
日本の政治の一時代を築いた池田氏の死去の影響は、どのように現れる?
【このトピックのポイント】
・池田氏逝去の影響は?
・公明党、結党からこれまでの足跡を振り返る
・今後の公明党は?
今野忍さんは、2009年に政治部配属以来、二度の政権交代を最前線で取材。番記者としては菅義偉前首相、そして岸田文雄首相の担当を10年以上されているベテラン記者です。
2018年には公明党担当、そのほか大阪社会部で公明党を担当されたことも。
池田氏の死去、政治の現場での反応は?
政治との関わりも深かった池田大作氏の死去ですが、政治の現場での反応は特筆すべきものはない、と今野氏はコメントします。
もう公の場に13年ほど出てこられなかった池田氏。創価学会も原田会長以下集団指導体制を取っていることから、「組織としては10数年かけて準備してきたのではないか」と捉えます。
今野氏は、創価学会の学会員にとっての聖教新聞は「池田先生からのお手紙」だといいます。公称500万部にもなる聖教新聞は、今でも一面に池田氏の言葉が掲載されており、以前は全国の学会員が自らボランティアで配達していたそうです。そんな池田氏が亡くなられた(聖教新聞の表現では「霊山へ旅立たれた」)ことが
今野忍氏「これだけの大カリスマが旅立たれたということ、影響がないはずがないよな、というのが一致した見方。これからですね」
長期的には何かが変わるだろうというのが、今野氏の見立てです。
池田氏が亡くなられた日は、折しも創価学会の創立記念日でした。
MC山本期日前「(池田氏が亡くなった)11月18日に信濃町の本部に行きまして。本屋とかも大行列」
発表日を合わせたかどうかに関しては、今野氏は学会から、18日のイベントを完遂してから(発表せよ)という池田氏の意向があったと説明されたとコメントしました。
公明党結党の背景 なぜ自公連立が生まれた?
平和や福祉、大衆の党のイメージが強い公明党。
自民党は経団連、大企業、社会党(当時)は労働者の政党。両者のイデオロギーが対立する中、本当の意味での一般大衆のための政党がないということで池田氏は公明党を立ち上げたと、今野氏は説明します。
公明党が果たしてきた役割とは、どういったところにあるのでしょう。
ここ20年では、自民党と一緒に与党をやっている、宗教団体である創価学会が支持母体にある政党、というイメージの公明党ですが、
今野氏「もともとは野党の方が長いんですよ、実は」
公明党は、1964年の結成から1998年まではほとんど野党でした。(新進党として与党になった時代を除く)
MC山本期日前「昔、自民党が機関誌とかで反創価学会キャンペーンをやってたっていう」
そのことが、連立入りのきっかけになったのではないかと言われるくらいだと、今野氏は解説します。
細川連立政権下、選挙で快進撃を重ねる創価学会に、当時の自民党が脅威を受けたのだろうと推察されます。
今野氏「自民党の恐ろしいのは、そこで池田大作氏を政教分離で国会に招致すると」
公明党側が池田氏を全力で守ろうとする中で、「一・一ライン」とまでうたわれた、新進党の小沢一郎氏と公明党の市川雄一氏の強い結束に亀裂が生まれました。
結果として、池田氏の国会招致は免れたものの、関係者には自民党を敵に回したことが「トラウマにはなりますよね」と、今野氏は想像します。
結果、当初予定されていた公明の新進党への合流が見送られ、新進党が解党。1998年に自公連立が生まれるという流れになります。
今後の公明党はどうなる?
公称827万世帯と言われる公明党。本気で選挙活動をするのは200〜300万と言われていますが、比例票で今でも600万票、最大では898万票(2005年の小泉郵政選挙)獲得しています。
昨年の参院選での公明党は、700万票を目標のところ、600万票を獲得していました。集票力が落ちたといっても相当なボリュームです。
MC山本「えげつねえっす」
公明党は、各小選挙区で1〜2万票を持っていると言われています。あらゆる地方に根を張り、地方議員が約3000人、国会議員までも。そのきっかけを作ったのが池田氏でした。
池田氏は選挙活動を、創価学会という組織のパワーの結束や躍進と一体化させた立役者だと今野氏は解説します。
例えば、学会員が少人数で集まって、日頃の困りごとなどを語り合う「座談会」は選挙活動と親和性があると指摘。
結成当初の綱領には「仏法民主主義」「国立戒壇」などの記載が見られ、党の運営も学会の幹部職員が担っていたそうです。
1970年の「言論出版妨害事件」をきっかけに、綱領を変更し、政教分離の立場を明らかにした公明党ですが、支持母体との関係性は複雑だと今野氏は指摘します。
今野氏「ここだけの話ですけど、2018年当時、木曜日の早朝、山口代表ら幹部は信濃町に行ってましたからね。なんでかわかる?」
木曜の昼に公明党の意思決定を行う中央幹事会に当たって、学会から方針が示されるため、当日の早朝に学会本部を訪問していたと示唆します。大阪でも、重要なことがあると「天王寺の関西創価学会の本部に、大阪市議らが呼び出されていた」と証言します。
次の衆院選は弔い合戦のようになるかもしれませんが、5年、10年で見ていくと、創価学会という宗教から変わっていくだろうと、今野氏は予測します。
日本の成長とともに創価学会を成長させてきた池田大作氏という巨星が亡くなったことは大きな節目となり、長期的にはこれからの連立政権に必ず影響を与えると予測します。
次の衆院選ではもちろん、中長期的な公明党の変化に注目です!
動画本編はこちら!
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