新国立劇場`24夏公演「こどものためのバレエ劇場 2024」が、貝川鐵夫振付の新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演『人魚姫』に決まった。
振付を手掛けるのは `22年まで新国立劇場に22年間ダンサーとして在籍した貝川鐵夫。バレエ団の中から振付家を育てるプロジェクト「NBJ Choreographic Group」に発足当初から参加し、いくつもの作品を発表。`21年新国立劇場<子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ>『Super Angels スーパーエンジェル』でも振付を担当するなど、振付家として意欲的に活動。
クリエイティブスタッフには新国立劇場でも数多くの作品の美術を手掛けてきた川口直次、貝川と協働を重ねてきた衣裳デザイナーの植田和子が加わり、誰もが知るアンデルセン童話の「人魚姫」をモチーフにした新作バレエを貝川と共に創り上げていく。
人間の世界に憧れた人魚姫が海の外で出会うのは、恋の喜び、悲しみ、そして…… この世の不条理に触れた人魚姫の切ないラブストーリーを、新国立劇場バレエ団から誕生するオリジナルバレエとして創作する。
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あらすじ
嵐の夜、人魚姫は海で溺れていた王子を助けます。人魚姫は王子に憧れ、魔女の魔法で人間となり ました。 再び出会った二人は互いに惹かれあいますが、王子には既に決められた婚約者がいたのです…。
新国立劇場 こどものためのバレエ劇場について
新国立劇場では、次世代を担う子どもたちが、優れたバレエ芸術に触れられる機会を提供する目的 で、2009 年より「新国立劇場 こどものためのバレエ劇場」を実施してまいりました。 お子様の“バレエ観劇デビュー”を考えながらも、全幕のバレエを観るには少し早いと感じていらっ しゃる低年齢層のお子様がいらっしゃるご家庭や、初めてバレエをご覧になる方々に向けて、バレエの美しさ、楽しさを1時間半前後に凝縮した『 しらゆき姫』 (2009年) 、『 シンデレラ』(2012年)、 『白鳥の湖』(2016年)、『竜宮 りゅうぐう』(2020年)と新制作上演を重ねてきました。
2023 には、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ「First Steps:Swan Lake」を日本向けにアレンジし、ナレーターによる、バレエの舞台を構成する要素の解説やストーリー展開のナレーションな どを挟みながら、第3幕を中心に『白鳥の湖』の魅力を凝縮した「エデュケーショナル・プログラ ム『白鳥の湖』」を上演。 いずれも、子どもにとって身近な原作をもとにした、わかりやすい語り口でつくられていると同時 に本格的なクラシック・バレエとして振り付けられ、お子様連れの大人の方にも十分見ごたえのあ る作品として仕上げられている。
コメント 吉田都 芸術監督
2024年夏、「こどものためのバレエ劇場『人魚姫』」を世界初演いたします。 今回の企画は新国立劇場バレエ団から振付家を育てるため、デヴィッド・ビントレー元舞踊芸術監 督の発案・監修のもとに発足したプロジェクト「NBJ Choreographic Group」において、「全幕バ レエを」という構想からスタートいたしました。2021 年に“物語バレエ”をテーマに作品を募集 し、貝川さんの『人魚姫』を「こどものためのバレエ劇場」の新作として膨らませることとなりま した。 童話として親しまれている『人魚姫』をバレエにすることで、お子様やバレエにあまり馴染みのな い大人の方がバレエを楽しまれ、身近に感じてくださることを期待しております。 バレエは言葉を発しないため、子どもたちの受け止め方は無限で、さまざまな想像をかき立てられ ることでしょう。「子どもたちの想像力・創造力を豊かにしたい」。貝川さんや私が「こどものため のバレエ劇場」へ向けて持つ思いです。新国立劇場、そして「こどものためのバレエ劇場」がお子 様たちの未来を育む場になるよう、努めてまいります。
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貝川鐵夫 演出・振付
2024年夏のこどもの
ためのバレエ劇場『人魚姫』で、振付・演出を務めさせていただきます。 新国立劇場バレエ団に在籍中は、立ち役から主役、クラシックからコンテンポラリーまであらゆる 役や作品を経験させていただきました。また、ビントレー元芸術監督時代に「NBJ Choreographic Group」ができ、それ以来振付活動をしてきました。その結実として、今回このような機会を頂戴 することとなり、感謝申し上げます。『人魚姫』はパ・ド・ドゥとして最初に「NBJ Choreographic Group」で発表しましたが、吉田芸術監督に見出され全2幕の全幕バレエとして生 まれ変わります。
今作品はアンデルセンの「人魚姫」をモチーフにしました。 彼女が王子との恋は実らず泡となってしまうという切ないストーリーは多くの方が親しまれている かと思いますが、実は泡となったその後 300 年間、天国に召されるまで風の精として過ごすとい う結末をご存知の方は少ないかもしれません。「親から愛しみを受ける子どもを見つけて私たちも 微笑むと 300 年の試練は 1 年ずつ短くなる。逆に、親を悲しませる悪い子を見て涙を流すと 1 日 ずつ長くなる」。物語のラストで人魚姫は他の風の精霊たちからそのように教わります。何か教訓 めいたその示唆は、私たちに問題を出されているような、ここに大事なことが隠されていそうな… そんな思いを抱きながら作品全体を構想しました。
使用楽曲はドビュッシー、サティ、グリンカ、メンデルスゾーン、ヴェルディ、ロッシーニ、マス ネなど、19 世紀に活躍した作曲家の音楽を中心に選びました。19 世紀はクラシック音楽において あらゆる音楽表現が生まれた時期とも思えるのです。美しい旋律、形式、ダイナミック性、繊細 性、呼吸、その 1 音 1 音が物語表現に欠かせない存在です。
人魚姫は深海奥深くから、人間の魂に憧れ、未知の地上へと足を踏み入れ、様々な人間模様、喜 び、おかしさ、寂しさ、醜さ、辛さを経験します。 そして、人魚姫は人間の魂をどのように思い生きていくのか。
この物語にはわかりやすい答えがある訳ではありません。子どもたち一人ひとりの感じるままに、 このバレエをご覧いただきたいです。
概要
新国立劇場 こどものためのバレエ劇場 2024
『人魚姫』~ある少女の物語~ <新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>
日時会場:2024年7月27日~30日 新国立劇場 オペラパレス
振付:貝川鐵夫 音楽:C.ドビュッシー/J.マスネ ほか
美術:川口直次 衣裳:植田和子 照明:川口雅弘 音響:仲田竜太
チケット:
アトレ会員先行販売期間:2024年4月27日(土)10:00~5月8日(水)
新国メンバーズ先行販売期間:2024年4月28日(日)10:00~5月8日(水)
一般発売日:2024年5月12日(日)10:00~