上越市は26日、同市中央1のレインボーセンターで、元日の能登半島地震に伴う地域住民との意見交換会を初めて開いた。被害に見舞われた直江津地区の22町内会や防災関係者ら30人以上が出席し、発災時の避難行動や避難所開設など問題点や課題を巡り行政に対し対応、改善を求めた。
住民は避難や避難所開設に際して厳しい現実を語った。避難所の鍵を保管する人、また場所が分からなかったり、開設担当の職員が来られなかったりという事態が複数あった。備蓄面では暖房、食料、情報源となるテレビがないなどの理由から、避難後1時間で解散、帰宅となった町内もあったという。
避難行動では車による渋滞が各所で発生。住民の避難に支障と危険があるとして車両進入を止めた町内があったという。また要支援者の避難には時間と人手が必要など、迅速な避難が求められる津波に対し、高齢化が進み、役員のなり手がいない町内会や自主防災組織では自助、共助に限界があるとの指摘があった。
このほか防災スピーカーの音声が聞こえなかったり、関川の川底が浅くなり災害時の危険性の増加、海抜が高い地域から低い避難場所へ行く必要性、直江津駅を挟んだ南北地域で指定緊急避難場所の数が不均衡などの意見が聞かれた。
東雲町1・2の田中了町内会長は「指定緊急避難場所の病院では職員がそのことを知らず、避難してきたわれわれに驚いていた。50~60人と一緒に一晩を明かしたが、もし患者や利用者が多い時だったらどうなったか。行政にはもっと周知をお願いしたい」と語った。
市危機管理課の柳時夫危機管理指導官は指定避難所全てにテレビが備わっておらず、ラジオとSNSが情報源になってしまうとし、「今後、情報収集に関する備えについても対策を講じていきたい」と応えた。津波に対する避難の在り方については「原則徒歩としていたが、今後は対象者を絞って車での避難を考えないと。町内会の皆さんと(対策を)講じていかなければ」との考えを示した。
市は4月以降も沿岸部の地域住民と意見交換会を開き、避難計画の修正を行い、地震、津波に備えるとしている。