石川県輪島市で伝統工芸「輪島塗」の職人を目指し研さんを積む今野風花さん(24)=大船渡市出身=は今月、花巻市の漆芸家大川彰さん(48)の下で活動を始めた。能登半島地震で被害を受けた技術研修所の再開が見通せず、第二のスタートを切ることを決断。能登の再興を支える思いを胸に、古里岩手で腕を磨く。
荷ほどき前の部屋に甘く渋い香りが広がる。今野さんは12日、引っ越したばかりの花巻市内の県営住宅で初めて漆塗り作業に臨んだ。「感覚が戻ってきた気がします」。道具は借り物だが、はにかむ表情に再始動の感慨をにじませた。
仙台市の東北生活文化大で漆芸を学び昨年4月、石川県立輪島漆芸技術研修所の専修科(2年制)に入学。基本技術を一通り習得し、専門性を高めようとしていた中で元日、大地震が発生した。大船渡に帰省しており難は逃れたが、研修所は休講が続く。