オタク向けメタバースサービスに関する消費者アンケート調査を実施(2024年)~メタバースに置き換えが期待される「オタク」向けサービスの市場ポテンシャルは1,959億円、「オタク」のメタバースプラットフォーム認知率は52.0%「非オタク」を約20ポイントほど上回る~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2024年2月~3月にメタバースとの親和性が期待される「オタク」に関する消費者アンケート調査を実施した。ここでは、「オタク」のメタバースプラットフォームの認知率、「オタク」向けメタバースサービスの市場ポテンシャルを推計し、公表する。

1.調査結果概要

2024年2月~3月に国内在住の15~44歳の男女20,000人を対象に消費者アンケート調査を実施した。
そのうち、「自分のことをオタクだと思う、またはオタクだと言われたことがある」という質問に対して「1.とても当てはまる、2.やや当てはまる」と回答、かつ8分野※のいずれかを趣味と回答、かつこれらの1分野以上に直近1年間(2023年2月~2024年1月)で10,000円以上支出したと回答した2,098人を本調査における「オタク」とする。また、上記の条件に該当しない残りの回答者を「非オタク」とする。

まず、「Fortnite」や「VRchat」などのメタバースプラットフォームの名前を知っているか尋ねたところ、52.0%の「オタク」が知っていたが、「非オタク」は31.3%にとどまった。「オタク」の認知率は「非オタク」を約20ポイントほど上回っており、あくまでもアンケート調査の結果であるが「オタク」はメタバースサービスとの親和性があると考える。

※ メタバースへの置き換えが期待される「アニメ・漫画・ライトノベル」「コンシューマーゲーム」「ソーシャルゲーム」「テーマパーク」「VTuber」「2.5次元ミュージカル」「コスプレ」「フィギュア収集」の8分野の趣味

2.注目トピック~「オタク」向けメタバースサービスの市場ポテンシャルは1,959億円

本調査における「オタク」2,098人に対して、それぞれの8分野の趣味について、イベント入場料・公演チケット代や、ゲームソフト購入費、ソーシャルゲームへの課金、コスプレ衣装購入費、フィギュア購入費などの費目別(会場などでの物販購入費は除く)に、直近1年間(2023年2月~2024年1月)にどのくらい支出したか、尋ねた。次に、回答された支出金額合計から1人当たりの年間支出金額平均を算出し、推定人数を掛けあわせて、推定市場規模を算出した。例えば、「アニメ・漫画・ライトノベル」を趣味とする「オタク」が支出する「イベント入場料・公演チケット代」は352億円であった。

さらに、それぞれの推定市場規模毎に親和性が高いと考えられるメタバースサービスのマネタイズ方法を設定し、「イベント参加費」「ワールド使用料」「アバター販売」の3種類に分類した。その結果、「ワールド使用料」の市場規模が709億円、「イベント参加費」の市場規模は980億円、「アバター販売」の市場規模は270億円となり、「オタク」向けメタバースサービスの市場ポテンシャル合計は1,959億円と推計した。

以上の調査結果から、「オタク」をターゲットにしたメタバースサービス市場は一定以上の大きさがあり、「オタク」向けサービスはメタバース普及の足がかりになると期待できることがわかった。

© 矢野経済研究所