聖徳太子1万円札の激レア番号「A000014A」がオークションで330万円に 新紙幣で狙い目の番号といえば?

■激レア番号の1万円札を手に入れたい

産経新聞が配信したニュースに、「新一万円札記番号『000001』入手できるか 渋沢栄一出身の埼玉・深谷市やきもき」という話題があった。ご存じのように、7月3日から約20年ぶりに紙幣がモデルチェンジされる。1万円札の肖像はおなじみの福沢諭吉から、埼玉県深谷市出身の実業家・渋沢栄一に替わる。

記事によると、深谷市は“若い記番号”の紙幣の入手に注力しているのだという。入手した紙幣は一般公開を予定し、イベントでの活用も計画しており、日本銀行に要望を出しているそうだ。しかし、まだ具体的な返答はないため、やきもきしているのだという。

現在発行されている紙幣には通し番号が印刷されているが、これはA000001Aからはじまり、A900000Aに達すると次はA000001Bといった具合にアルファベットが変わっていく。基本的にA000001Aは日本銀行金融研究所の貨幣博物館に収蔵されるが、A000002A以降は肖像の人物に縁の深い団体や自治体に寄贈されるのが慣例だ。ちなみに、福沢諭吉が設立した慶應義塾大学は、1万円札のA000002Aを所蔵している。

■000001は普通に手に入るって本当!?

記事中で筆者が気になったのは、以下の記述だ。深谷市はアルファベットにかかわらず、000001が第一希望だとし、推進課は「展示を考えているので珍しい番号にこだわりがある」のだという。これにはどうしてもコレクター目線からツッコミを入れたくなってしまう。というのも、アルファベットにこだわらなければ、000001の入手は全然難しくないのである。

確かに、A000001Aは市場に出たらいくらになるか予想できないほど、超貴重だ。しかし、B000001SやW000001Hであればヤフオクでも買えるため、言うほど珍しくない。むしろ、市に贈呈される可能性が高い、A000003Aとか、A000010Aと言った具合の、A-A券の若い番号(100番以内)の方が遥かに珍しいし、とんでもないプレミアがつく紙幣なのだ。

以前、聖徳太子の1万円札のA000014Aが「銀座コイン」のオークションに出たときは、コレクター界隈が騒然となった。コレクターでなければ14番なんて平凡な数字だと思うかもしれないが、競り合いとなり、330万円で落札されている。銀座コインはこの紙幣をレア中のレアと絶賛し、こう解説している。

「これほどの超若番号のA-A券を今まで見たことがあるでしょうか。銀座コインは初めてです。まさにレア中のレアの若番号でしょう。A000001A~A000100Aまでは、発行時にその紙幣の関係各位に行き渡ると噂を耳にしたことはありますが、真相は分かりません。兎にも角にも、これだけの超若番号を手にするチャンスはそうないと思いますので、現行紙幣コレクターの皆様の熾烈な争いが予想されます」

■A000003AとA000001Bならどっちがプレミアがつく?

ちなみに、大分県中津市の「福沢諭吉記念館」には、1984年発行と、2003年発行の福沢諭吉の1万円札が収蔵されているようだ。ともに、記番号はA000001Bのようである。もしかすると、「渋沢栄一記念館」がある深谷市にも同様の紙幣が寄贈されるかもしれない。その場合、A-A券ではなくA-B券となるが、プレミア価格はいかほどのものだろうか。そんな話を「銀座コイン」の鑑定士・竹内三浩氏にぶつけてみた。

「難しい質問ですが、仮にA000003AとA000001Bがもし市場に出た場合、プレミアがつきそうなのは、おそらくA000003Aでしょうね(笑)」

000001と比べたら、確かに000002や000003はいまいちパッとしない。しかしながら、平凡な000001よりもA-A券の若い番号の方が超絶レアであり、コレクター垂涎の逸品であるということは記しておきたい。

■どうでもいいところに“萌え”るのがコレクター

ところで、新紙幣は様々な偽造防止技術が盛り込まれるなど、話題が沸騰しているが、どうも、記番号のナンバリングの仕方も現在の紙幣とは異なるらしい。竹内氏は、「まだ100%とそうとは言えないようですが……」と前置きしつつ、興味深い情報を解説してくれた。

「新紙幣はアルファベット2桁+6桁の数字+アルファベット2桁がはじめから出るという話があります。つまり、AA000001AAが一番初めになるということです。これは今までのA000001Aから始まるルールとは異なっていますし、AA900000AAの次の番号がAA000001ABなのか、それともAB000001AAなのかはわかっていません。なお、こうした珍しい新紙幣は銀行の両替などで偶然手にできることもあります。手にできた方は、ぜひ“銀座コイン”までお持ち込みいただけると、嬉しいですね(笑)」

気になって仕方ない話だが、この原稿を書いていたら、隣にいる妻から「お札の番号とか、別にどうでもいい」と突っ込まれてしまった。しかし、一般人から見ればどうでもいいところに無駄にこだわるのがコレクターの性というものではないか。なお、111111や777777などの“ゾロ目”がもしAA-AA券で入手できれば凄まじいプレミアがつくことは間違いなく、新紙幣発行にあたり、日本中のコレクターが注目している。

(文=山内貴範)

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