【特集】世界遺産10年 富岡製糸場の歴史と変化

富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産に登録されて今月25日で10年です。

18日から3日間にわたって世界遺産特集をお送りします。初回は、富岡製糸場の魅力と10年の変化を見ていきます。

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は生糸の大量生産を可能とする技術革新と国際的な技術交流により一部の特権階級のものであった絹を世界中の人々に広めたことが評価され世界遺産に登録されました。

富岡製糸場は明治政府の近代化政策のもと明治5年、1872年に操業が始まった日本で最初の本格的な器械製糸工場です。フランス人のポール・ブリュナを指導者に迎え、日本とヨーロッパの技術を組み合わせた建造物が残り、繰糸所と西置繭所、東置繭所は国宝になっています。

「明治に入って富岡製糸場を中心に関連する資産が協働で生糸の大量生産を実現することによって普通の人達も気軽に身に付けられるような繊維になっていったということですね。そうした技術の交流と技術革新の歴史。そういったものが認められて、富岡製糸場と絹産業遺産群ということで世界遺産に登録されています。」(世界遺産登録に携わった富岡市世界遺産観光部・結城雅則部長)

「富岡製糸場と言えば繰糸所ですが、どんな特徴がありますか」(小此木アナウンサー)

「工場の心臓部になります繰糸所という建物で、長さが140メートルあります。特徴はヨーロッパの建築技術を使ったトラス構造という建物になっています。窓にはフランスから輸入したガラスを使っていて、明かりを沢山取り入れて作業しやすい空間が作られています。いまは午前と午後の1回ずつ実演者の方が明治5年の頃の糸取の方法を説明してくれています。」(結城部長)

10年前には一般公開されていなかった場所も保存修理工事が行われ開放されています。

「大正時代に建てられた社宅です。4世帯の家族が住んでいました。現在は保存修理工事が終わりまして、一つは暮らしのギャラリーということで昭和30年代の生活がわかるような展示をしています。もう一つは蚕を見てもらうような展示を行っています。」(結城部長)

「こちらは工事中ですね。どういう場所なのでしょうか」(小此木アナウンサー)

「今から10年前の2月に大雪が降りまして、こちらにあった乾燥場・繭扱場という建物は、雪の重みで半壊してしまいました。いま保存修理の工事を行っているところです。」(結城部長)

「37.5メートルある煙突なんですけども、こちらも乾燥場の工事にあわせて補強を進めていく予定です。乾燥場の工事とあわせて令和9年度の完成を目標としています。工事が終わりますと一般の方にも見学いただけるような計画をしています。」(結城部長)

創業当時からある国宝の西置繭所にも変化が。

「見てみますと古い部分と新しい部分が共存しているような建物になっていますが」(小此木アナウンサー)

「2020年に一般公開を始めまして、1階については耐震補強を兼ねてガラスの展示室、あるいは多目的ホールを整備しました。強化ガラスを使ってまして、そちらも耐震の役割を担っています。」(結城部長)

世界遺産登録から10年。今後の展望は・・・

「富岡製糸場は整備が進んでおりまして、10年前には見たことあるけど、最近は来ていないよって方もいらっしゃいますので、たくさんの方に来ていいただきたい。多くの海外からのお客さまも来られるようになりましたので、そういった方にも富岡製糸場の歴史と価値を知っていただきたい。長い目で見ると50万人くらい来てもらえると富岡製糸場の整備・活用の費用もそちらから捻出できるというような形になっています。」(結城部長)

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