春になると、駅の構内や店の軒先に巣を作るツバメたち。ひなが巣立つまで、通勤や通学の傍ら見守っている人も多いのではないでしょうか。
駅のホワイトボードに描かれたツバメに関する注意書きと、温かみのあるイラストが、SNSで注目を集めています。
X(旧Twitter)ユーザーの「mikio.k(@impreza22bsti )」さんが、6月9日に写真を投稿したところ、約19万件の「いいね」が集まっています。
投稿された写真は、小田急電鉄小田原線生田駅構内のホワイトボードを写したものです。
ホワイトボードには「つばめのひな鳥が飛ぶ練習をしてます。温かく見守ってあげて下さい。生田駅長」という注意書きがあります。
これだけでも十分ほっこりするメッセージなのですが、注目すべきなのはボードの下部。そこには「頭上注意」という吹き出しと、かわいい生き物のイラストが……!
文章だけでは味気ないので、注意書きを作った人がツバメの絵を付け足したのでしょうか。イラストの下にある「※ツバメです。すいません」という補足にも、優しい人柄がにじみ出ています。
「頭上注意」のコメントにも、駅を利用する人への配慮が感じられます。人の目に留まる、すてきなイラストです。
SNSでは温かみのある注意書きに、
💬「優しい駅」
💬「つばめの絵ゆるすぎて超好き」
💬「駅長の人柄が垣間見える」
💬「レオ・レオニの『さかなはさかな』みたい」
💬「こういう話題ばかりの世界がいい」
など、優しい気持ちになった人たちのコメントが寄せられています。
イラスト自体も「このイラストのTシャツ欲しい…かわいい…」「絵がかわいい」「イラストにもほっこり」と好評です。
なお、絵の雰囲気から「好きな駅 発表ツバメ」「惣菜発表してそうなツバメ」など、最近流行りの「好きな総菜発表ドラゴン 」を連想した人たちもいました。
BuzzFeedは担当者さんにお話を聞きました!
――どのような経緯で、この注意書きを書かれたのでしょうか?
「構内に巣が作られたのは5月2日ごろで、飛ぶ練習をし始めたのは6月7日の午前中と認識しております。6月8日の10時頃からツバメが数羽、駅構内を低空で飛行しており、親鳥は障害物を避けることができますが、ひな鳥はまだ不安定な飛行をしていることから、お客さまに接触する危険があると判断し、注意喚起のために掲示しました。ひな鳥達は6月12日ごろに巣立っております」
――そもそも、生田駅ではよくツバメが巣を作るのでしょうか?
「担当者が定期的に変わる駅ですので、直近2年ほどしか情報共有がございませんが、2年ほど前から同じ時期に巣作りをしているのを確認しています。それより前は不明です」
――「温かく見守ってあげて下さい」という一文が、優しい人柄を感じさせる注意書きだと思いました。これは、いつも駅長が自ら描かれているのですか?
「今回のホワイトボードはあくまで臨時的なものであり、初めて作成しました。また、これから何か作成することがあっても、見世物としてではなくお客さまへの注意喚起・迅速な情報展開のために作成するものであり、その時の担当者により、内容やイラストの有無は異なるものになると思われます」
「加えて、ホワイトボードに記載した『生田駅長』とは『駅責任者』としての意味を持つ『駅長』であり、役職としての『駅長』は生田駅にはおりません。お客さまに対して何かをお伝えする時、駅責任者としての発信であることを明確にするために『○○駅駅長』と記述しております」
――なぜ、機械的な文章だけではなく、ツバメのイラストを添えようと思ったのでしょうか?
「質問文にもある通りに、ただ文章だけで機械的に注意喚起を促すよりもお客さまの目に留まるよう、試行錯誤を重ね、その結果イラストを添えることにしました」
・・・・・・
生田駅の担当者さんによる工夫が功を奏し、注意書きは多くの人の目に留まり話題になりました。もしも、注意書きが文章だけだったら、何気なく見過ごしてしまった人がいたかもしれません。
手描きのイラストを添えることでより興味を引き、多くの人にそっと見守られて、ひな鳥たちは無事巣立つことができました。
(サムネイル画像:Andrew Sproule / Getty Images)