文章を読んでいて、「これはどういうことだろう?」「作者は何を言いたいんだろう?」といったモヤモヤを抱えたことはありませんか? インプットした情報を正しく読み解く力=「読解力」が高いと、このモヤモヤに対する答えがわかります。齋藤孝氏の著書『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、短い文章を題材に読解力のトレーニングをしましょう。子どものみならず、大人の読解力アップにも役立つ内容です。
<本稿の読み方>
まずは作品をゆっくり丁寧に読もう。作品の世界に深く入り込める音読もオススメだよ。次に、作品の下にある「読み解きクエスチョン」を読んで答えを考えてね。解答が決まったら答え合わせをしよう!
詩を読み解こう①
\------------------------------------
「木」 金子みすゞ
小鳥は
小枝のてっぺんに、
子供は
木かげ(こかげ)の鞦韆(ぶらんこ)に、
小ちゃ(ちっちゃ)な葉っぱは
芽のなかに。
あの木は、
あの木は、
うれしかろ。
\------------------------------------
【読み解きクエスチョン】
Q. どうして作者は木が「うれしいだろうな」と感じたんだろう?
(ヒント:木の気持ちになって、詩の前半部を読み返してみよう。)
答えは…
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
A. (例)鳥や子どもの遊び場になったり、葉っぱを育んだり、木が役に立っているから
【解説】
一緒に遊んでいる相手が喜んでいると、自分もうれしいよね。お手伝いをして、誰かに喜んでもらうのもうれしい。こういった心の動きは、物言わぬ木にもあると作者は想像したんだね。
生きていくための支えとなる目標や張り合いを「生きがい」と表現するけれど、この木にとっては自分が役に立つことが生きがいなのかもね。キミにとっての生きがいはなんだろう?
イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)
詩を読み解こう②
\------------------------------------
「草に すわる」 八木重吉
わたしの まちがひ(まちがい)だった
わたしのまちがひだった
こうして 草にすわれば それがわかる
\------------------------------------
【読み解きクエスチョン】
Q. どうして作者は自分が間違っていたとわかったんだろう?
(ヒント:怒ったり悲しんだり、興奮しているときには気付けないよね。)
答えは…
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
A. 草に座って気持ちが落ち着いたから
【解説】
誰にだってミスはあるけれど、そのミスを認めることが難しいときもあるよね。怒りや恥ずかしさで気持ちが高ぶっているときはなおさらだ。作者は草の上に座って深呼吸をしたんだろう。ひと息ついて落ち着きを取り戻し、自分の行動を振り返った結果、間違っていたことを素直に受け入れられたんだね。
もし間違いを指摘されてかっとなったら、キミも深呼吸をしてみよう。
イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)
齋藤 孝
明治大学文学部教授
1960年静岡県生まれ。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に『語彙力こそが教養である』『小学3年生から始める! こども語彙力1200』(いずれもKADOKAWA)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、訳書に『現代語訳 論語』(ちくま新書)、『12歳までに知っておきたい語彙力図鑑』『12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(いずれも日本能率協会マネジメントセンター)など多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。