気になる子との関わりに課題がある保護者の支援はどうする?意識したい3つのキーワードとは【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

子どもとの関わりに課題がある場合の支援

子育てに欠かせない「応答的環境」の重要性

子どもとの関わりをよりよいものにしていくため、保護者へどのように働きかけるべきでしょうか。重要な視点の一つが、 応答的な関わり (子どもの思いを受け止めて共感的に対応し、相互作用を生み出すこと)です。

子育てにおいては応答的環境が欠かせず、社会性や情動、言葉の発達などに影響すると考えられています。子どもは一人で孤独に育つのではなく、保護者を含めた周囲との関わりの中で成長することを、あらためて認識してもらいましょう。

子どもへ共感的に語りかけることが苦手そうな保護者であれば、何らかのツールを活用することも一案です。例えば、絵本を読み聞かせることで登場人物の気持ちを一緒に考えたり、子どもの疑問に答えたりするきっかけが生まれます。子ども向けのテレビ番組や映画などでも同じような効果が見込めるので、そうした方法を提案してみるのもいいでしょう。

保護者支援で意識したい3つのキーワード

保護者支援で意識したい点は、ほかにもたくさん!ここでは3つのキーワードを挙げるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.三項関係

子どもと大人が共通の対象に注目することで、三項関係(自己と他者、ものの三者間の関係)を成立させることが重要です。自然な親子の関わりの中で生まれるものですが、それが難しい保護者も。1つのおもちゃで遊んだり、散歩に行って同じものを見たりして、子どもの興味や要求へ意識的になることの重要性を伝えましょう。

2.スキンシップ

子どもをかわいいと感じる気持ちには、オキシトシンというホルモンが関係しているといわれています。分娩や授乳によって分泌されるほか、育児による刺激も大いに影響することが考えられるため、子どもを抱き締める、手をつなぐといった日常的なスキンシップが、良好な親子関係を形成する一助になるかもしれません。

3.「かわいい」の力

特に、自分の子育てや子どもの成長に不安を抱える保護者に対しては、保育者が子どものかわいさを伝えることに大きな意義があります。「わが子が社会的に認められた」と感じられ、養育の意欲を高める原動力にもなり得るので、ぜひ積極的に「今日はこんなことをしていてかわいかったです」といった声かけをしていきましょう。

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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