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本日開幕する今季3つ目のテニス四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝)。今大会の男子シングルスに第4シードとして出場する世界4位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/27歳)は、虎視眈々と念願のグランドスラム初制覇を狙っている。
ただズベレフにとってウインブルドンは“鬼門”と言うべき相性の悪い大会だ。最高成績は2017年と21年のベスト16で、キャリアでも13勝7敗と苦戦を強いられている。
それにもかかわらずドイツテニス界の貴公子は「今年はこれまでで初めて『もしかしたらタイトルを獲得できるのではないか』と思えている」と自信を見せる。その理由をビッグ4であるロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マリー(イギリス)の時代が終わりを告げようとしている現況を踏まえ、こう続けた。
「優勝候補(が誰なのか)という点では、今年のウインブルドンはここ20年で最もオープンな大会だと思う。上位進出や優勝のチャンスがある選手が何人かいるように感じる。
ロジャー(フェデラー)がプレーしている20年間は、こんなにオープンな状況はなかったと思う。ロジャーの後にはラファ(ナダル)、ノバク(ジョコビッチ)、アンディ(マリー)が続いた。でも今年は本当に(状況が)違うと感じている」
トップ3シードが上から順に新王者のヤニック・シナー(イタリア/1位)、四大大会史上最多の24勝を誇るジョコビッチ(2位)、ディフェンディングチャンピオンのカルロス・アルカラス(スペイン/3位)となっている今大会。そんな彼ら3人にはそれぞれ不安要素がある。
ジョコビッチは現状右ヒザのケガが懸念されており、アルカラスは前哨戦の「シンチ選手権」(イギリス・ロンドン/ATP500)で2回戦敗退と振るわず。
唯一シナーは「テラ・ウォルトマン・オープン」(ドイツ・ハーレ/ATP500)で世界1位になって初のツアー優勝を手にしたが、対戦した5人の選手のうちトップ10のプレーヤーは、フベルト・フルカチュ(ポーランド/大会時9位/現7位)の1人だけだった。そのため、芝での実力を評価する上で参考になるかどうかはまだ微妙なところである。
上記の点も考慮すると、右足首のケガから見事な復活を遂げたズベレフにとっては確かにチャンスと言えるかもしれない。とはいえそう甘くないのが最高峰の四大大会。苦手なウインブルドンではなおさらだろう。先の全仏オープン(フランス・パリ/クレー)では惜しくも準優勝に終わったズベレフ。誰もが憧れる聖地での悲願達成を期待したい。
文●中村光佑