佐々木蔵之介でもアウト! 宣孝バッシング祭に【光る君へ】

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。6月30日放送の第26回「いけにえの姫」では、まひろと宣孝の結婚生活に早くも暗雲が。特に宣孝のダメダメな本性がどんどん現れていく様に、SNSは宣孝バッシング祭となっていた(以下、ネタバレあり)。

第27回より。「すべての文を返さなければ別れる」と宣孝(佐々木蔵之介)に告げるまひろ(吉高由里子)(C)NHK

■ まひろ波乱の結婚…前回のあらすじ

まひろは藤原宣孝(佐々木蔵之介)と結婚するが、宣孝はまひろが送った文を、人に見せびらかすために持ち歩いていた。それを聞かされたまひろは、すべての文を返さなければ別れると宣孝に迫る。それをきっかけに2人の仲に亀裂が入り、さらに弟の惟規(高杉真宙)も、宣孝が若い娘に布を買っている現場を見たと報告。後日、布を持って訪れた宣孝に、まひろは礼ではなく嫌味をぶつけてしまう。

言い合いになるまひろ(吉高由里子)と宣孝(佐々木蔵之介)(C)NHK

それに対して宣孝は「そういうかわいげのないところに、左大臣(藤原道長/柄本佑)さまも嫌気がさしたのではないか?」と嫌味を返し、まひろは思わず火鉢の灰を投げつけた。それ以来宣孝は来なくなり、惟規の乳母・いと(信川清順)は「己を貫くばかりでは、誰とも寄り添えませぬ」とまひろを諭す。気分を変えるため、まひろは家のものみんなで石山寺詣に出かけるが、そこで思いがけず道長と遭遇するのだった・・・。

■ ラブラブ新婚シーンからわずか30分で激変

前回でめでたく結ばれた、まひろと宣孝の新婚生活から始まった第26回。宣孝が財力を活かしてまひろの家を修復したり、高そうな鏡をプレゼントしてからの、明るいうちから・・・と、予想の10倍はお熱かった新婚ぶりに、SNSでも「なんつーオープニングの入り方や」「のぶまひ夫婦が思った以上にバカップルだったw」「イェーイ見てる道長君??? 思ってる以上にラブラブやぞ君の元カノ!」などの歓声が上がっていた。

第27回より。ラブラブな宣孝(佐々木蔵之介)とまひろ(吉高由里子)だったが… (C)NHK

しかし恋愛というものは、燃え上がるのが早ければ早いほど、燃え尽きるのも早いもので、わずか30分で2人の関係は激変。最初のきっかけは、まひろが施しを与えていた災害孤児たちにむかって、宣孝が「けがらわしい」と毒づいたのち「死ぬのも致し方ない」と言い放ったこと。かつて庶民の子どもに字を教え、その死を看取ったことすらもあるまひろには、かなりカチーンと来ただろう。

災害孤児たちと接するまひろ(吉高由里子)(C)NHK

SNSでも「恋人には優しいけどファミレスの店員さんにぞんざいな態度取る系の人が脳裏に浮かんでしまった」「まひろは弱い人や民、そして周りの幸せを祈り、宣孝は自分とまひろさえ良かったらそれで良い」「そうだね道長さまなら民のこと考えて動くもんね」「佐々木蔵之介でもキツいってこれ」などの失望の言葉が上がる一方で、「庶民は虫けら同然」という、当時の一般的な平安貴族の価値観を考慮して「宣孝の意識は普通にこの時代の貴族なんだよな。まひろの方が珍しい」という擁護の声もあった。

■ 手紙の拡散、そして地雷を踏む宣孝に非難ごうごう

というわけで「庶民の子どもに冷たい」は100歩譲って「貴族だからしゃあないか」ということにしておくけど、まひろの手紙を別の愛人に見せるというのは、大変によろしくない振る舞いだった。

相手の気持ちを一切考えず「あなたを自慢してるんだからうれしいでしょう?」と、むしろ愛情の現れと思い込むのは、現在でも結構起こりそうな話・・・。ちなみに、宣孝が紫式部(まひろ)の手紙を人に見せまくって、ガチギレされたのは実話だ。

第27回より。まひろ(吉高由里子)から「私は殿に甘えたことはございません」と言われ、表情が消える宣孝(佐々木蔵之介)(C)NHK

これにはSNSも「プライベートな手紙をSNS(貴族社会)に拡散されれば、嫌われるのは当然じゃないですか」「1000年前でも1000年後でもそれは最低の所業」「ここで褒められたのをうれしいと、夫の機嫌を取れないのがまひろらしい」「大事に大事にとっといて、でもいつでも読み返せるくらいのところにおいてあり筆跡すら覚えている道長と、本人に嫌がられても褒めてんだからいいじゃん! って見せびらかす宣孝」などの非難ごうごう状態に。

第27回より。まひろ(吉高由里子)から火鉢の灰を投げつけられる宣孝(佐々木蔵之介)(C)NHK

さらには「だから元カレに愛想つかされたんだろ」という暴言に至っては、「おっさん!! 禁句!!!」「それは灰ぶっかけられても仕方ない」「まひろの甘えたことない発言は、女の私から見ても『か、可愛くね~!』だったけど、だからといって左大臣を出しちゃったのはとんでもない地雷」「ちがうんですよ宣孝さま、左大臣はね、まひろのそういうかわいげのないところがかわいいんですよ」と、完全にストップ安状態になった。

第27回より。いと(信川清順)から「己を貫くばかりでは、誰とも寄り添えませぬ」と諭されるまひろ(吉高由里子)(C)NHK

そこで惟規の乳母・いとがすかさず「夫婦円満のためには折れるのも大切」というアドバイスをくれたわけだが、これには「『正しすぎるだけでは誰とも寄り添えない』いとはやっぱり少しだけだけど人生の先輩なんだな」「いとさんの言葉を部屋に飾りたい」と賛同する声もあれば、「人の手紙を人に見せるような人には逃げ道作りたくない」「譲り合い許し合い寄り添い合うことを『己を曲げて』と表現してしまっているうちは、まひろちゃんには難しいんだろうなぁ」という疑問の声もあり、賛否両論という感じだった。

■ 道長くんとの再会でまさかの「つづく」…

そんなこんなで石山寺まで傷心旅行(多分宣孝のお金)にでかけたまひろだったが、ドラマのラスト5秒で現れたのは宣孝・・・ではなくまさかの道長!!!! この予想外にもほどがある再会を果たしたところで、物語は無情にもジ・エンド。しかもこんなときに限って、来週は選挙の関係で『光る君へ』は一週間お休み。この状態で2週間待てとか、NHKは鬼か??

第27回より。石山寺に現れた道長(柄本佑)に驚くまひろ(吉高由里子)(C)NHK

SNSも「夢オチかと思ったらガチ」「やばい来週ないのマジで考えられないどうやって過ごせばいい分からない」「あんなとこで終わっといて来週放送ないとか! 生殺し! 人でなし!」「これで二週待てという、視聴者の悲鳴に脚本家は愉悦になっていそう」という苦情があふれかえった。

まひろは結婚の現実に疲れ果て、道長は政と入内のダブルパンチで疲れ果てという状態での再会は、絶対に盛り上がるに決まってるはずで・・・これはインモラルな展開になってしまうのか? とりあえずいつもより早く2週間後来い!!(無理)

『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。次週の7月7日は、都知事選開票速報のために放送休止。

7月14日放送の第27回「宿縁の命」では、石山寺で思わぬ再会を果たしたまひろと道長の物語と並行して、一条天皇(塩野瑛久)の中宮・藤原定子(高畑充希)の出産と、道長の娘・彰子(見上愛)の入内が描かれていく。

文/吉永美和子

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