悪化すると命にかかわることも 猫の体質が関係している病気「喘息」

猫が頻繁にせき込んだり、ゼーゼー、ヒューヒューと苦しそうに呼吸したりする場合は、「喘息」による発作を起こしていることが考えられます。今回は、猫の喘息の特徴と治療・予防法について、獣医師の重本仁先生に伺いました。

猫の喘息はどんな病気?

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喘息は、なにかしらの物質(アレルゲン)に過敏に反応して、口と肺を結ぶ気管支が突然収縮し、激しく続くせきや、呼吸のしにくさなどの発作の症状が急に起こる病気です。発作を起こすアレルゲンには、タバコの煙、ハウスダスト、花粉、芳香剤やヘアスプレーなどの化学物質が考えられます。

猫の喘息のメカニズムはまだ明確にはなっていませんが、体質が大きく関係しているといわれ、喘息発作が起こる体質自体の改善はできません。また、猫も人と同様に、アレルギー体質だと喘息になるリスクは上がります。季節の変わり目はアレルギーが悪化したり、喘息の症状が出やすくなったりするので、注意して観察しましょう。

猫の喘息のおもな症状とは

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喘息の発作が起こるとひどくせき込んだり、ゼーゼー、ヒューヒューと音がする苦しそうな呼吸(喘鳴(ぜんめい))をしたりします。1回の発作は短時間で治まることもありますが、症状が長く続いたり、1日に何回も繰り返したりすることもあります。

猫の喘息は適切な治療をして発作の症状を軽くし、できるだけ発作を起こしにくくする対応が必要です。症状が悪化してしまうと呼吸ができなくなり、命にかかわります。人と違い、健康な猫は基本的にせきをしません。猫が頻繁にせきをしていたら生理現象とは思わず、動物病院で受診をして、早期に治療を始めることが大切です。

猫の喘息の治療法

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喘息の治療は、ハウスダストなどのアレルゲンを排除することと、抗炎症薬や気管支拡張剤を内服・吸引することが中心です。アレルゲンの可能性が高いものを室内から排除することで症状が改善し、毎日の投薬はせずにすむケースもあります。

猫の喘息を予防するために日ごろから気をつけるべきこと

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猫の喘息を予防するには、掃除で発作の原因となる刺激物を除去し、できる限り室内の空気をきれいに保ち続けることが重要です。具体的には、飼い主さんは室内でタバコを吸わない、こまめな掃除でハウスダストを一掃する、空気清浄機を使用する、定期的にエアコンフィルターを清掃する、などを心がけてください。

また、猫が長時間過ごす猫ベッドはハウスダストがたまりやすいので、定期的にきれいにしましょう。まずは、ついた抜け毛やホコリを掃除機でしっかり吸い取ります。洗えるタイプの猫ベッドなら、洗濯機で丸洗いしましょう。

猫の喘息は体質が関係するため完治が難しい病気ですが、適切な治療や予防をすることで、発作を起こしにくくすることは可能です。日ごろから室内の空気をきれいに保つようにし、愛猫がせきや苦しそうな呼吸をしていたら、早めに動物病院で受診するようにしましょう。

お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)
参考/「ねこのきもち」2022年2月号『体験した飼い主さんのリアルな疑問に獣医師がアンサー ねこに多い病気、そこが知りたい! vol.21喘息』
文/宮下早希
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