【フォーミュラE第13/14戦ポートランドE-Prix】アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが連勝!タイトル争いは予想外の展開に

2024年6月29日と30日にアメリカ・オレゴン州ポートランドのポートランド・インターナショナル・レースウェイでフォーミュラE第13戦、第14ポートランドE-Prixが行われた。残すはあと2戦4ラウンドとなった今シーズン。ここまでニック・キャシディ(JAGUAR TCS RACING)がチャンピオンシップを大きくリードしており、今年のチャンピオン大本命となっている。しかし、ここにきて状況が一変。シーズン終盤にしてチャンピオン争いは混沌とした状況となった。

ダ・コスタが上海に続き連勝!キャシディが痛恨のミスでノーポイント

エバンスが飛び出すも、ポジションが目まぐるしく変わっていく。

ダブルヘッダーとなったポートランドE-Prix。インディカー・シリーズでもお馴染みのロードコースで行われた第13戦はミッチ・エバンス(JAGUAR TCS RACING)がポールポジション。フロントローにジェイク・ヒューズ(NEOM MCLAREN FORMULA E TEAM)が並んだ。

ランキング2位のパスカル・ウェーレイン(TAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM)が8番グリッド、ランキング首位のキャシディは10番グリッドからのスタート。また、チャンピオン争いに加わっていたオリバー・ローランド(NISSAN FORMULA E TEAM)は体調不良により欠場となった。

27周の決勝は、ロードコースでの戦いということもあり、スローペースで進行。全車接近戦で、各車アタックモードを早めに消化したため、混戦のまま順位が目まぐるしく入れ替わる事態となった。

中盤になっても接近戦で、優勝予想がしずらい展開が続く中、ポールシッターのエバンスに5秒タイムペナルティが科されてしまう。原因は接触とのことだが、チャンピオン争いをしているだけに痛いミスとなった。

終盤にはランキングトップのキャシディが先頭に躍り出るも、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(TAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM)やエバンス、ロビン・フラインス(ENVISION RACING)らが喰らい付き、虎視眈々と優勝を狙う。ただ、キャシディの後ろにはエバンスが入ったことでジャガー陣営にとって優位な状況となり、キャシディの優勝がかたいと思われた。

しかし、残り2周の最終コーナー手前でまさかの単独スピン。S字1つ目でラインが膨れたキャシディがS字のふたつ目でタイトになってしまい挙動を乱しスピン。なんと優勝まであと1周というところでポイント圏外まで下がってしまった。

キャシディのまさかのミス。これが世界チャンピオンの称号がかかるプレッシャーなのだろうか。

キャシディが脱落し、2位のエバンスがトップに浮上。2位につけるダ・コスタはエバンスに5秒のタイム加算があることを理解しており、無理な追い抜きは仕掛けずポジションは変わらなかった。

エバンスがトップチェッカーを受けるも、タイム加算ペナルティによりダ・コスタが優勝。前戦上海で復活の優勝を果たしたダ・コスタは連勝で今季3勝目をあげた。2位にはフラインス、3位にはジャン-エリック・ベルニュ(DS PENSKE)が入っている。

今季絶好調のキャシディはここに来て珍しいミスを犯しノーポイント。しかし、ランキング2位のウェーレインも10位と振るわず、両者の差は24ポイントとキャシディの優位は続いている。

ダ・コスタが3連勝でポートランドを制圧!チャンピオン争いは僅差で最終戦に

ジャガー勢のまさかのミスにより、ダ・コスタの優勝となった第13戦。4戦中3勝をあげたダ・コスタの勢いは第14戦でも止まることはなかった。

ポールポジションはベルニュ、ダ・コスタは2番グリッドを獲得。昨日のミスを挽回したいキャシディは6番グリッド、ウェーレインは7番グリッドからのスタートとなった。

前日より1周少ない26周で行われた第14戦だったが、やはり各車エネルギーマネジメントを重視したため前日と同じスローペースでレースが行われた。

スローペースがたたり、接近戦となったため、接触の多いレースになった。

アタックモードも早めに消化しポジションの変化が激しい中、タイトルコンテンダーのウェーレインが前方のマシンと接触しフロントウイングにダメージを負ってしまう。ウェーレインは走行を続けたが、フロントウイングが落ちてしまい、厳しい状況に追い込まれてしまった。

一方、キャシディはこれまで通り、エネルギーをセーブし中盤から終盤に勝負を仕掛ける作戦を企てていたが、13周目のターン1で他車と接触。緊急ピットインを強いられてしまった。同じくダメージを負っていたウェーレインは、そのまま走り続けていたことが功を奏し、先頭集団で周回を重ねていく。

それ以外にも接触が多く、デブリが散乱していたこともありSC(セーフティカー)が出動。先頭はフラインス、ダ・コスタ、ウェーレイン、ベルニュ、エバンスというトップ5で、レースは再スタートした。

リスタート後はダ・コスタが一気にスパートをかけ逃げにかかる。SC導入で周回数は1周増え、フラインスも果敢にせめていく中、ダ・コスタはトップの座を譲らずトップチェッカー。なんと3連勝でタイトルの可能性も見えてくる事態となった。

ランキング4位ながらもここ数戦の勢いを考えると、ライバルにとって最も警戒すべき存在なのかもしれない。

2位にフラインス、3位にはエバンスが入った。キャシディは13位で前日に続きノーポイントに終わり、2位とのポイント差は12まで接近。タイトルがほぼ手中と思われていたキャシディは、緊張感を持ったまま最終戦に挑まなければならなくなった。

ランキング2位にはエバンスが浮上するも、ウェーレインとは同ポイントの155ポイント。そして驚異の3連勝を果たしたダ・コスタが134ポイントでランキング4位となり、ジャガーとポルシェのワークス4名によるタイトル争いとなった。

7月20日から21日にかけてイギリス・ロンドンを舞台にダブルヘッダーで最終戦が行われる。シリーズが進むたびに様相が変わってきた今年のフォーミュラE。今年のチャンピオン決定戦はチャンピオン未経験者による戦いとなる。記念すべき10年目となる今年のフォーミュラEで栄冠に輝くドライバーは一体誰なのか。最後の最後まで目が離せない。

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