観光誘客にAI活用 福島県独自・ホープツーリズム、需要分析へ

 県は本年度、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の歩みを発信する県独自の旅行施策「ホープツーリズム」の誘客促進に、人工知能(AI)による需要分析を活用する。ツアー参加者や受け入れ側となる地元住民が、オンライン上でホープツーリズムや浜通りの魅力を語り合える場を開設。参加者の年齢や性別、興味がある分野などをAIを使って分析することで、需要に合わせた旅行商品の開発や情報発信につなげたい考えだ。

 県が交流の場の開設を予定するのはオンラインの人気ファンコミュニティーサイト「"絆"のコミュニティ」。約220万人と国内最大規模の登録者数を誇る。今夏にも、サイト内にホープツーリズムについて語り合える掲示板を設ける予定で、サイト登録者のほか、ツアー参加者や地元住民らにも参加を呼びかける。

 AIは、参加者の登録情報から性別や年代を集計するほか、ほかに閲覧・投稿している掲示板を基に興味のある分野の傾向を分析する。食、アウトドアに関心が高い人が多ければツアーに組み込むといったように、AIによる分析結果を生かして旅行商品や情報発信の改善を進める方針だ。

 ホープツーリズムは本県ならではの観光資源で、2026年4~6月に本県で開催されるJR6社の大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」でも柱の一つに位置付けられている。昨年度の参加件数は396件で過去最多を記録するなど、企業や団体の参加は増加傾向にあり、今後は個人の来訪をいかに増やしていくかが課題になる。

 県はオンラインの交流の場開設とAIの分析を通じ、ホープツーリズムの浸透と個人客に対する訴求力を高めたい考えで、「(人気サイトへの掲示板開設は)県外の人にホープツーリズムの存在や復興の現状を知ってもらうきっかけにもなる。AIでニーズを把握し、より効果的な誘客促進策を打ち出せるようにしたい」(観光交流課)としている。

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