【パリ五輪バスケ金へ・林咲希】「3年経って、どれだけ通用するか楽しみ」アメリカと再び対戦へ NZ戦直前インタビュー

いよいよ7月26日に開幕するパリオリンピックを控え、4日、バスケットボール女子日本代表(世界ランキング9位)は、国内最後の強化試合となるニュージーランド代表(同26位)との2連戦(東京・有明アリーナ)の初戦に臨む。恩塚亨監督から「あるべき姿を見せてくれる選手」と全幅の信頼を寄せられているキャプテンの林咲希(富士通)に、パリでの金メダル獲得を目指す意気込みを聞いた。

髙田・吉田 チームに二人の五輪主将経験者「手伝ってもらいここまで来れた」

Q いよいよパリオリンピック。気持ちの変化は?
ー(代表の)12人も決まり、いよいよだなっていう気持ちで、練習している。

Q(東京オリンピックから)3年間、早かった遅かった?
ー長かった。でも4年間じゃなくて3年間なので、短かったなっていうふうにも思う。

Q 最初にキャプテンと言われた時の気持ちは振り返ってどうだったか?
ー恩塚さん(監督)のバスケになり、キャプテンにと、最初に電話でいただいたのかな。でも髙田(真希)さん(東京五輪主将)であったり、吉田(亜沙美)さん(リオ五輪主将)もいるし、上の方々がいる中で「私かぁ」みたいになって。最初は緊張もしたし、どうやってチームを作っていこうみたいに思っていたが、日を追うごとに、自分らしいキャプテンをやりながら、リツさん(髙田真希)にも手伝ってもらいながら、ここまで来れた。

Q 一番大事にしてきたことは?
ー私は本当にいつも明るくっていうところなので、チームの雰囲気をどうよくしていくかを、コートの中でも外でも表してやってきた。

課題はディフェンス 頻繁に選手交代の監督差配に「恩塚ボディーで頑張る」

Q オフェンス、ディフェンスにおける日本の強みや課題は?
ー強みはスピード。あと、正確性とチーム力。課題はやはり、ディフェンスが(6月の強化試合の)オーストラリア戦でもあったので、今回ニュージーランドも(体格が)大きいし、オリンピック前の国内での最後の試合だが、ニュージーランドに対して今やっているディフェンスの練習がどれだけ通用するか。そこに挑戦する場面になると思う。

Q どんなディフェンスをしたいか?
ー課題はもちろん、センターで簡単に点を取らせないというところが課題になってきていて、ディエンスってやはりローテーションであったり、いろんなすれ違いがあるので、そこでコミュニケーションをどれだけ多く取れるかというところが大事になってきている。(体力的に)キツくなってくると、なかなか声が出なくなってくるのだが、それも出そうっていうところも皆で共通理解をしてやっているので、40分間どれだけ激しいディフェンスができるかというところが大事になってくると思う。

Q 恩塚監督が差配する頻繁なメンバー交代も含めて?
ー5分交代とか3分交代とかいっぱいあるので、誰が出てもたぶん日本らしさは出せるかなと思う。

最初は本当に5分交代とか3分交代とか、「え?」みたいな、たぶん皆そう思ってたと思うし、私たちも流れをつかむのが難しかったが、今はそうしないとできないぐらいキツイので。

Q 体が作り替えられた、みたいな?
ーそうです(笑)。もうヘトヘトになっちゃうので。

Q “恩塚ボディー”に作り替えられた?
ーいやもうほんとに。恩塚ボディー(笑)。頑張りたいなっていうふうに思います。

“世界一のスリーポイント集団”随一の林が自己分析「打つ判断が早い」

Q やはり日本の強み「スリーポイント」という部分で、恩塚監督も「世界一のスリーポイント集団」と言っている。
ーまだまだ。でも自信を持って打つことができているし、皆からも「打っていいよ」の声かけもそうだが、自信を今までの経験から得ているので、オリンピックではやはり自分らしくスリーポイントをバシバシ決めてやっていけたらと思うし、皆がたぶんいいパスをくれるので、期待して私も頑張りたいと思う。

Q 自身のスリーポイントシュート。他の人と違う特徴は?
ーたぶん、動きが違う。スリーポイントを打つ前の。

Q タイミングではなく?早く見えるが。
ーそれはあると思うが、相手を振り切るところでもうズレを作ってるいるので、打つと決めている。その(判断の)速さが、シュートを打つ速さにいつも繋がっているのだと思う。

Q (ボールを)もらう前に相手を振り切る動きを?
ーそう。もう今はたぶんこのぐらい離れているだろうなという想定で、パスが来たらもう打つと決めているので、その判断が早いかなと思う。もう迷いなく打つのが1番ですね。

Q スリーポイント成功、目標値は?
ー今まで4分の3とか試合では決めているが、この間オーストラリア戦で5本ぐらい決めてたのかな。でもまだまだ打つ場面はあったかなと自分で感じているので。でもスリーだけではなく、やはりパスとか、ツーポイントのところも狙えていけたらいいなと思うので、スリーは全部通して5割ぐらい入れたらいいかなと思う。

“体育館に住んでいる選手”の異名 監督「あるべき姿を見せてくれる選手」と絶賛

Q 「体育館に住んでいる選手」とはどういう意味?
ー(笑)大学の時。大学って授業終わってからじゃないですか、練習って。朝練とかも特になかったので、もう大学の時も結構苦しんで、シュートが入らない時期とか、打たせてもらえなかった。なら、もう自分が自主練できる時間にやるしかないってことで、朝、体育館にいたら、男子は朝練をやる。男子の(練習の)前にも来てたんで、「ちょっとなんか住んでるんじゃないか?」みたいな(笑)。というのをちょっとひそひそ言われて。早稲田大学卒業、萩原ヘッドコーチも住んでるぐらい練習してると、テレビで言っちゃったもので、広まってしまった。

Q 恩塚代表監督が「あるべき姿を見せてくれる選手」と言っている。
ーありがとうございます。

Q 「あるべき姿」とは、自身の中ではどういうもの?
ーコートの中では誰よりも声を出して、ルーズボールであったり、リバウンドとか泥臭い仕事をやると考えているので、恩塚さんからもそういうところは「献身的にやってくれているのはありがたい」と言ってくれているし、そこを自分は絶対やると思ってコートに入っているので、そこはオリンピックでやりたいなと思うし。コートの外はもういつでも明るくやっているので、チームの雰囲気をいい状態にしてやれたらいいと思う。

東京で「日本とはもう2度とやりたくない」と言わせたアメリカ パリで再対決へ

Q (2021年東京五輪での)アメリカ戦。アメリカが「日本とはもう2度とやりたくない」と。林さんが(そう聞いて)おっしゃったのか?
ーベンチの前を通った時に言っていた。誰が言ったかちょっとわからないが、私はその英語を聞きとり、トレーナーさんが英語を喋れるので、「ああいうこと言っていた」みたいな。(それを聞いて)「よっしゃ!」みたいに(嬉しく)思って。でも負けちゃったので。次は勝ちたいなっていうふうな思いでやっていた。

Q その相手がいきなりパリ五輪予選の初戦。今、どんな気持ちか?
ー楽しみ。今は。3年経って、あの時は全部止められたというぐらい、2戦目はアジャストされたので、どれだけ今のバスケが通用するかっていうところが、楽しみだ。

Q (東京五輪、アメリカとの)決勝戦は苦しかった?
ー苦しかった。でもベンチメンバーもすごく頑張ってくれたので、そこの変化ってすごく大事かなと思っている。やはり東京の時は、ルイさん(町田瑠唯)とかガードが切っていって、周りが待っている状態でのスリー(ポイントシュート)だったが、今回は誰でも1対1をして、誰でもスリーが打てるという状況なので、最後の1秒まで取りに行けば、相手も油断してくるところを見逃さずに、やっていけたらなと思う。ー

2021年の東京オリンピックで惜しくもアメリカに敗北も銀メダルの偉業を達成した女子日本代表。今回のパリ五輪は、予選リーグでは、五輪7連覇中のアメリカ(同1位)と再び対戦するほか、ベルギー(同6位)、ドイツ(同19位)と対戦する。

”世界一”をかけた運命のパリを目前に、4日から国内での最後の強化試合に、女子日本代表が臨む。

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