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Netflix人気作『Missナイト&Missデイ』は、20代と50代を夜と昼で行ったり来たりすることになってしまった就活生がヒロインのファンタジーラブコメディだ。
夜の20代ヒロインのイ・ミジンを演じるのは、『酒飲みな都会の女たち』『応答せよ1997』などのチョン・ウンジ(A pink)。昼の50代ヒロイン、イム・スンを演じるのは『私たちのブルース』や『パラサイト 半地下の家族』のイ・ジョンウン。
ミジンの母には『ソンジェ背負って走れ』のチョン・ヨンジュ、父には「となりのおじさん国家代表」の呼び声も高い『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『D.P.-脱走兵追跡官-』シーズン2のチョン・ソギョンが扮している。
■『Missナイト & Missデイ』母娘の会話に登場する韓国料理のチェビチュリ、冷凍サムギョプサル、テジコプテギとは?
『Missナイト & Missデイ』3話の終盤にこんなシーンがあった。
夜、ミジン(チョン・ウンジ)と両親(父役チョン・ソギョン、母役チョン・ヨンジュ)が自宅前でケ・ジウン検事(チェ・ジニョク)を見送ったあと、娘が検事とつき合っていると思い込んだ母とミジンの会話。(訳は筆者)
母「検事だなんて、公務員のなかでも超特級なチェビチュリね」
娘「検事がチェビチュリなら(雑用係の)私はネンドンサムギョプサルね」
母「あんたはぜいぜいテジコプテギ止まりよ」
娘「ひどい」
母「テジコプテギでもいいじゃない。チェビチュリをゲットしたんだから」
現金な母が社会的地位を焼肉にたとえているのだ。
チェビチュリ(日本語版字幕では超特級カルビ)は牛カルビの一部で、牛一頭からわずかしか取れない肋骨の内側の希少部位だ。豚肉にもある。
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いっぽう、ミジンが自らを卑下して言ったネンドン(冷凍)サムギョプサルは1990年代までよく食べられていた、文字通り凍らせた豚バラ肉のこと。テペ(カンナ)の付いた電動スライサーで削るように薄く切って出すため、テペサムギョプサルとも呼ばれる。
この20数年間で豚肉の品質も価格も向上したため、その反動と懐古趣味で数年前から再び脚光を浴びている。なにしろ安い。我が国の慢性的な不況とも無縁ではない。
ナム・ジュヒョクとキム・テリ主演のヒットドラマ『二十五、二十一』や、キム・ヘス主演映画『国家が破産する日』の時代背景として描かれていたIMF事態(1990年代後半の金融危機)のとき、「IMFサムギョプサル」という謳い文句で激安サムギョプサルがよく売られていたが、あれも冷凍サムギョプサルだった。
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母がミジンに追い討ちかけるように言った「テジコプテギ」とは豚皮のこと。数年前まで豚焼肉の店で、ある程度肉を頼むと無料で出してくれたのだが、最近は諸物価の値上がりで有料化する店も珍しくない。
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高級カルビであるチェビチュリがやわらかく肉汁豊かで、旨味もたっぷりなのはもちろんだが、冷凍サムギョプサルは90年代への郷愁も含めて独特の味わいがあるし、テジコプテギは餅のような食感がこぎみよく、ソジュのつまみにぴったりだ。
この夏、日本のみなさんが韓国にいらしたら、ミジンと母の言葉を思い出しながらそれぞれの肉を味わってもらいたい。