アニメのナナメ上からの楽しみ方・ちょい外した楽しみ方をお届けしたい – 「大和田伸也のチンボラソトゥーハン」制作秘話【短期連載インタビュー】

By TV LIFE

アニメを見たい、もっと楽しみたいという方の新たな「きっかけ」になるアニメ紹介型動画配信サイト『AT-DX』。本動画配信サイトでは、各アニメ作品の配信に加えて、声優・俳優・アーティスト・お笑い・アイドルなど、さまざまな出演者によるオリジナルのアニメ紹介番組が展開されている。

TV LIFEでは、『AT-DX』各番組のプロデューサー・関係者の短期連載インタビューを実施! 第3回目は、昭和、平成で誕生した知られざるアニメの名作、珍作、意欲作を令和の時代に独自の視点と独特の世界観で案内する番組「大和田伸也のチンボラソトゥーハン」の山崎明日香プロデューサーにインタビュー。名優・大和田伸也と声優・三上枝織を起用した理由や、プロデューサーとして大切にしていることなど、制作の裏側についてお聞きしました。

◆最初に自己紹介をお願いします。

(『AT-DX』を運営する)AT-Xの山崎明日香です。20年近く声優の方たちをMCに据えた実写バラエティ番組の企画制作に主に携わってきました。企画を手掛け始めたころは、まだ声優のみなさんが顔出しをしてバラエティ番組に出演することがあまりなかった時代だったんです。とはいえ、声優のみなさんは個性的で面白い方が多いので、声の演技以外の部分も見たいと思っていらっしゃる方はいる!と思って、番組をプロデュースしてきました。

◆元々アニメもお好きだった?

テレビが大好きだったんです。だから、自然とアニメも見てきて今に至る、という感じですね。あと、元々は地上波局で働いていて、そのときにかなり薄くではありますがアニメの仕事にも関わっていました。ただ、AT-Xに転職したのは「アニメ専門チャンネルだから」という理由ではないんです。

◆そうなんですね!

はい。もちろんアニメは好きですが、どちらかと言うとAT-Xのビジネスモデルに惹かれたところが大きかったです。地上波局では営業担当だったので、業務上、局にとって大切な収入源である広告収入と密接でした。スポンサーの意向や広告代理店の意向がとても大事になってきます。一方、AT‐Xはお客様の視聴料が収入源であり、お客様に刺さるものを編成すれば加入者が増え、それがダイレクトに会社の売上にも繋がるんです。こちらが提供したものへのリアクションが分かりやすいなと思って、そこが魅力的に感じたので、AT-Xの中途採用に応募しました。

◆ユーザーさんのニーズに応えたら、それが結果として分かるというか。

そうなんです。すごくシンプルでいいなと思いました。

◆そんな山崎さんがプロデューサーを務める「大和田伸也のチンボラソトゥーハン」。最初に番組のことを知ったときは「大和田伸也さんがアニメ紹介番組を!?」と驚きました。

ですよね(笑)。実際に見ていただきましたか? どうでした?

◆笑い声や拍手などのリアクションやSEが入っていて、すごくテレビっぽい作りだなと思いました。あとは大和田さんと三上さんが芝居っぽくMCをやられているのが面白くて。

よかった。今の感想を聞いてちょっと安心しました。というのも、まさに狙っているところだったんです。最近のバラエティ番組は出演者の「素」をお届けするものが多い気がするんですけども。本番組はそれとはちょっと違って、ある意味ベタに作りこんでいる番組というか。分かる人には分かると思いますが、90年代の深夜番組をベースに置いて制作した側面があります。拍手とかご婦人たちの笑いや「えー」とかいうリアクションを含めて、壮大なコントと言えるかもしれません。

◆コントという表現がしっくりきました!

ありがとうございます。なので、役者の方、コントを中心にやられている芸人の方にMCをやっていただかないと成立しないような番組なんです。

◆なかでも、大和田さんにオファーしようと思ったきっかけは?

まず、今回の番組を制作するにあたって『タモリ倶楽部』『出没!アド街ック天国』などを手掛けてきた制作会社のハウフルスさんとぜひ一緒に番組を作りたいと思ってお声がけしたんです。その後、打ち合わせを重ねていくなかで、ハウフルスさんが「こういう番組なら、大和田さんが非常に面白いですよ」と候補に挙げてくださって。実際、本番組の構成作家を務めている岐部(昌幸)さんが以前に関わっていた『環境野郎Dチーム』というかなり作り込んだバラエティ番組に、大和田さんは出演されていました。あと、私も大和田さんが出ていらっしゃるサスペンスドラマも好きでしたし、『水戸黄門』も見ていましたので、「じゃあ格さんにオファーしますか」と(笑)。

◆なるほど(笑)。アシスタントMCを声優の三上さんにオファーした理由も教えてください。

三上さんについてはもう一択でした。大和田さんという著名な役者に気後れせず、一緒にお芝居を成立させられる力量を持っている方となると……難しい人選です。加えて、番組がちょっと古めかしい昔のトゥーハン(=通販)番組のようなスタイルなので、ノリとかも含めて懐かしさも分かって、それを醸し出せる方がいいなと思っていました。さらにアニメ紹介番組ということも踏まえると、声の仕事も顔出しの仕事もできてキャリア的にも安心して任せられるのは、声優の三上枝織さんしかいないかなと思いました。

◆即決だったんですね。

はい。それで、(三上さんが所属されている)青二プロダクションさんに、三上さんの名前を出す前にまずは番組の企画を説明したんです。そしたら、ご相談したマネージャーさんから「その内容だと、うちなら三上かなと思うのですが」と返事が来て。相思相愛でした(笑)。

◆なんと!

大和田さんも三上さんも、まだ始まってもいなかった新しい動画サービスの新番組にご出演いただき、本当に感謝しています。

◆個人的には、ゲストの方がふたりのコントのようなやり取りに困惑するのも面白かったです。

よかったです(笑)。#1・#2は「僕が見たかった青空」の塩釜菜那さん、#3は民謡アンバサダーであり、俳優・歌手・作業療法士の三刀流で活動されている竹野留里さんに出演いただきました。摩訶不思議なこの番組を若いゲストの方が見たときのリアクションも、見どころのひとつかもしれません。

◆2024年6月現在までに配信されている#3までは、『コスモウォーリア―零』『バビル2世』『イルド7 another -謀略運河-』と、「著名作家シリーズ」のアニメを番組内で紹介されていますね。

はい。「著名作家シリーズ」は、松本零士先生や横山光輝先生といった著名な漫画家の原作をAT-Xが幹事会社となってアニメ化し、お届けしたシリーズになります。ただ、制作された2001年当時、アニメファンにこのシリーズが浸透できていたかと言うと、そうでもなかったというのが正直なところです。とは言え、「著名作家シリーズ」は色々な楽しみ方もあるだろうなと個人的には思ってまして。自社で扱える作品シリーズでもあるので、活用したいなと思ったんです。

◆今後もいま放送されているアニメよりも、「著名作家シリーズ」など、過去の作品を取り扱っていく?

そうなります。ここ数年でアニメは、サブカルチャーではなく、もはやメジャーカルチャーになりました。実際、たくさんの作品が生まれていますし、それによって、どんどんファン層も厚くなってきています。そんな現状だからこそ、最近アニメを好きになった方は、20年以上前のアニメ作品を知るタイミングってないだろうなと思って。過去に制作されたアニメ作品を知ってもらうきっかけを作れないかと思ったときに、『AT-DX』立ち上げの話があり、今回の番組を企画しました。

◆なるほど。

作品の取り上げ方については、直球でその作品の魅力や面白さを紹介するのではなく、ニッチなB級の楽しみ方、ちょっと外した楽しみ方を紹介していければと思います。個人的趣味やフェチを追求した『タモリ俱楽部』のように、ちょっと角度を変えた見方・楽しみ方をお届けできればなと。そういう意味では、40代以上のサブカルチャーが好きな人たちにぜひ見て欲しい番組です!

◆これまでの配信では、作中に登場するファッションに注目されている回もありましたよね。

そうなんです。服から紐解くという……! キャラクターもメインじゃなくてサブキャラクターに注目したり、設定の面白さを紹介したり。物語やメインキャラクターじゃないところも含めて、アニメを楽しむ要素って色々あるので、それをお届けできればなと思っています。

◆そんな本番組で今後やっていきたいことは?

せっかくご出演いただいているので、大和田さんをもっといじりたいです(笑)。大和田さんは漫画もお好きですし、アニメの造詣も深くて。YouTubeでは『ポケットモンスター』の実況もやっていらっしゃいますし。76歳になられても、あくなき探求心を持っていらっしゃるんです。タレント力もバイタリティもすごいです。そんな大和田さんが面白がっていただけることを提案したいですね。三上さんも色々な作品に出演されていますが、大和田さんとのやり取りでしか見られない姿もあると思います。そういうのをチラッと見に来てほしいですし、番組を見たいというきっかけになる取り組みもできればなと考えています。

◆本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に、山崎さんがプロデューサーを務めるうえで大切にしていることを教えてください。

新しい驚きと発見を提供することですかね。ジャンルや扱う商材は何でもいいんです。むしろどれであっても、見た人が少しでも「へえ」と思える何かを提供したいなとは常に思っていて。いまは「共感」も大切な時代だと思いますが、そこにプラスして新しい何かを提案して、番組を見た方に少しでも何か持って帰っていただきたいという気持ちは大事にしていますね。そういう驚きと発見に味付けして楽しく、面白くするのも私たちの仕事だと思っています!

「大和田伸也のチンボラソトゥーハン」ロゴ

text/M.TOKU

『AT-DX』サービス概要

■月額
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※一部番組はレンタルも可能。100円(税込)~、1週間視聴可能
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■コンテンツ
『AT-DX』オリジナルのアニメ紹介番組、特集スタイルのアニメラインナップ、『AT-X』オリジナル声優バラエティ番組のアーカイブなど

※視聴方法:PC・スマートフォン・タブレットなどにてChrome、Safariなどのブラウザにより視聴可能
※日本国内向けサービスとなります(海外での利用はできません)

番組情報

大和田伸也のチンボラソトゥーハン
■出演者
大和田伸也
三上枝織
■番組URL
https://atdx.at-x.com/atdx/pages/0006.aspx
■番組公式SNS
・X:@ChinborasoTohan<https://x.com/ChinborasoTohan>
・TikTok:@chinborasotohan<https://www.tiktok.com/@chinborasotohan>

「大和田伸也のチンボラソトゥーハン」キービジュアル

© 株式会社ワン・パブリッシング