【特集|障害者の就労支援】ラベンダーの香りで未来を育む-2つの事業者が連携し挑むスキンケア商品【新潟・長岡市】

障害者の雇用環境の改善へ

長岡市の2つの企業・団体が、障害がある人たちが栽培したラベンダーを使って、スキンケア商品の製造に取り組んでいます。高い品質の商品を作り、経済的自立を目指す、就労支援の現場を取材しました。

風に揺れる紫色の可憐な花『ラベンダー』です。長岡市にある障害者の就労支援団体「Oneながおか」が、7年前から栽培しています。収穫のピークを迎えた6月、Oneながおかの利用者が作業に励んでいました。
■Oneながおか利用者
「(Q.いよいよ今年も咲きましたね?)はい、そうですね。すごくきれいに咲いてくれてとてもうれしい。」
「大変なんですけど、すごく楽しくやっています。」

Oneながおかは、このラベンダーを使ってアロマオイルを製造してきました。しかし、大きな販売ルートを持っていないため売り上げが伸びず、作業にあたる利用者の賃金確保が難しくなっていました。

そんな中、ある企業が声を掛けました。県内で薬局などを展開する企業集団「アルファスグループ」で、障害者支援を手掛ける「アルファスブライト」です。
■アルファスブライト 池田芳美事業長
「お互い売り上げが伸び悩んでいたので、お互い足りていないところを補う形でいい製品を作りたいと思い始まった。」

アルファスブライトは、もともと障害者が製造した石鹸などをグループの店舗で販売していましたが、売り上げを伸ばすため新商品の開発を検討していました。そこで、原料の栽培から精油の抽出までを行うOneながおかと連携。ラベンダーを使ったスキンケア用バームの製造を始めました。
■アルファスブライト 池田芳美事業長
「高品質な精油を作ることは難しいが、(Oneながおかと)一緒にやることで素敵な製品が生まれた。」

■Oneながおか 紺勝之施設長
「従来の福祉事業所の生産活動は、それぞれの事業所だけで完結していたので、コラボレーションして新しい価値が生まれて斬新なのではないか。」

Oneながおかの畑で収穫したラベンダーから、バームの原料となる精油を抽出します。数カ月干したラベンダーを専用の器具にかけて、約2時間蒸留。透き通った精油が少しずつ出てきました。

■池川泰介記者
「ラベンダーの花よりも強い香りがする。」

ここからは、アルファスブライトの障害者にバトンタッチ。精油に、ミツバチから分泌される蜜ろうを混ぜて電子レンジで加熱し、バームの容器に流し込みます。すべて手作業で、1つ1つ丁寧に仕上げます。
■アルファスブライト 三浦宏太さん
「真ん中に貼るのが難しい。そんなに器用ではないので。」

容器をフィルムでパッケージして〝完成〟です。
この『やさしいバーム』は、アルファスグループの薬局で販売。ラベンダーのさわやかな香りが特徴で、ベトつかず女性を中心に売れ行きが伸びているといいます。製造に携わる人たちも、やりがいを感じています。
■Oneながおか 多田絢香さん
「初めての作業があって大変だが、日々学ばせてもらって楽しく製作している。」
■アルファスブライト 三浦宏太さん
「職業訓練。コミュニケーション力などを勉強して就職までたどり着きたい。」

多くの障害者の一般企業への就職を後押ししてきた、Oneながおかとアルファスブライト。ともに障害者の雇用環境の改善を目指しています。
■Oneながおか 紺勝之施設長
「障害のある方の収入は昔から少ない。それを打ち破るためには、私たちのような事業所から仕事ができて収入も作れるということを証明していきたい。」
■アルファスブライト 池田芳美事業長
「障害のある方たちの仕事の様子はなかなか理解していただけないので、『やさしいバーム』が品質の高い製品だということを手に取って理解していただくことで、障害のある方たちも働けるということを理解していただきたい。」

今後も、品質の向上と障害者の経済的自立に向けて連携を深めます。

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