レアなヴィンテージロレックスが集まる中目黒のメガネ店「AFTER(アフタ)」【WN編集部のヴィンテージウオッチショップ探訪】

By WATCHNAVI salon

現行モデルのみならずヴィンテージウオッチにも目がないWN編集部の平野が、まだ訪れたことのない店舗に取材していく不定期連載。第2回は、中目黒にある「AFTER(アフタ)」を訪問し、店主の牧野さんが考えるヴィンテージウオッチの魅力を教えてもらった。

希少な”王冠”が集まる中目黒のメガネ店

WN編集部の平野が中目黒にある「AFTER(アフタ)」と出会ったのは、ある日の午後、散りかけている桜を眺めながら目黒川沿いを散歩していた時だった。突如ガラス張りのお洒落なお店が目に留まり、入口から少し覗いてみると、メガネが整然と並んでいる。時計だけでなく、メガネも好きな筆者のアンテナに刺さり、いざ入店。中に入ると、間接照明のディスプレイやデザイナーズチェアが置かれたお洒落な空間が広がっていた。気になったメガネを掛けたり外したりしていると、視線の先に小さなディスプレイが……。中を覗くと、なんとロレックスやカルティエなどのヴィンテージウオッチが置いてあるではないか。てっきりメガネのセレクトショップだと思っていたのでびっくり。詳しく見てみると、どうやら普通のヴィンテージウオッチではない。ゴーストダイアル、ティファニーとのダブルネーム、金無垢のオイスターパーペチュアルなど、変わり種が並んでいる。これはとんでもないお店を見つけてしまったようだ。珍しい時計たちに目を奪われていると、「AFTER(アフタ)」の店主、牧野さんが登場。すぐさま取材を申し込んだ。

AFTER(アフタ)店主の牧野弘生さん。経年変化したトリチウム夜光がパンプキン色となり存在感を放つヴィンテージのボーイズエクスプローラーに、アメリカのジュエリーブランド「クロムハーツ」のブレスレットを合わせた拘りが光る

牧野さんは、メガネの産地である福井県鯖江市で製作されている10 eyevanのセルフレームに、ヴィンテージロレックスという渋い出で立ち。メガネと時計を組み合わせた今時のお店は珍しいので話を聞いてみると、古き良き時代の街のメガネ店が販売していたメガネと時計の組み合わせを参考にして、独自でアレンジを加えたお店だという。メガネは、Made In JapanのEYEVAN 7285と10 eyevanとヴィンテージアイウェア、時計はロレックスとカルティエを中心に、年式の整合性とコンディションにこだわった物を取り揃えている。

ヴィンテージとなると、やはり気になるのは防水性。ズバリどうなのか真相を聞いたところ、オーバーホールの際にパッキンなどを交換するので、問題なく日常使いできるという。ムーブメントもロービートなので、メンテナンスもしやすく安心して使うことができますと、力強いお言葉もいただいた。もちろんヴィンテージウオッチの1本目であっても、ロレックスを選んでもいい。牧野さんによると「初心者が選ぶとすれば、バリエーションも豊富で手の届きやすいオイスターパーペチュアルから始めてもらうと良いと思います」と語る。なるほど、まずはロレックスの入門機から挑戦してみようと思う。“いつかはロレックス”が実現する日も近いかもしれない。

「AFTER」流|ヴィンテージウオッチの楽しみ方

エイジング(経年変化)や仕様の違いを楽しむヴィンテージロレックス

ヴィンテージロレックスには、他の時計ブランドと比べても類を見ないほどの個体差が存在する。経年変化の仕方によって様々な名称がつけられており、針の形状、文字盤の色、フォントなど、それぞれの年代ごとのわずかな違いが大きな個性となる。特にエイジングダイアルは、豊富なバリエーションが魅力であり、ヴィンテージマニアにとって楽しめるポイントの一つとなっている。

文字盤のレターが見えなくなる「ゴースト」

ロレックス「デイトジャスト」 Ref.1603 1972年製 自動巻き

ゴースト(幽霊)ダイアルと呼ばれるこの仕様は、1960年代半ばから1970年代初頭に製造。角度によって文字盤のレターが背景と同化して見えなくなる特性を持つ。この個体のように、マットなスムースダイアルの仕様は、希少で特に人気が高い。直径36mm。

艶のある光沢を放つ「ミラー」

ロレックス「エクスプローラー1」 Ref.1016 1966年製 自動巻き

1967年までの期間に製造された個体には、ミラーダイアルと呼ばれる艶やかな光沢を持つ仕様が存在する。後期の方が前期よりも美しい光沢が見られる。この希少個体はミラーダイアルの光沢に加えて全体が深い茶色(トロピカル)に変化している。直径36mm。

キャラメル色に変化した「キャラメルトロピカル」

ロレックス「オイスターデイト」 Ref.6694 1962年製 手巻き

元々ブラックダイアルであったこの個体は、経年変化によりキャラメル色になるまで変色している。海外では「キャラメルトロピカル」と呼ばれている。文字盤のホワイトレターが、角度によって見えなくなるゴーストダイアルでもある。直径34mm。

アメリカ市場向けモデル「ゼファー」

ロレックス「ゼファー」 Ref.1008 1966年製 自動巻き

アメリカ市場向けに展開された特別モデル。特にブラックミラーダイアルの個体は珍しく、程度の良いモノは少ない。専用デザインの独特なベゼル、11個の夜光ドットインデックス、視認性も考慮した十字線で4分割されたセクターダイアルが特徴。直径34mm。

製造年数の少ない「ビッグロゴ」

ロレックス「オイスターパーペチュアルデイト」 Ref.1501 1961年製 自動巻き

1960年代初頭の僅か2~3年しか製造されていないといわれる「ビッグロゴ」は、ROLEXロゴが大きくプリントされた珍しい仕様。エンジンターンドベゼル、クサビ型インデックス、ドルフィン針など、ヴィンテージ特有のデザインが満載。直径34mm。

取材協力店【AFTER(アフタ)】
住所:東京都目黒区青葉台1-29-6
営業時間:12:00~19:00
定休日:不定期(予約優先制)

Text/平野翔太(WN編集部) Photo/高橋敬大(TRS)

◎本記事は『ウオッチナビ 2024 Summer Vol.94』より抜粋・編集しています。

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