ウォリアーズの崩壊は2022年から始まっていた?元NBA選手のジェニングスが指摘「あのパンチで王朝は終わった」<DUNKSHOOT>

ゴールデンステイト・ウォリアーズはステフィン・カリー、クレイ・トンプソンの“スプラッシュ・ブラザーズ”、万能戦士ドレイモンド・グリーンのビッグ3を中心に、2015年以降の8年間で4度(15、17、18、22年)のリーグ優勝を果たし、王朝を築いた。

スーパースターの移籍が珍しくない現代のNBAにおいて36歳のカリー、34歳のトンプソンとグリーンはプロ入りからウォリアーズ一筋で10年以上も共闘。4度の優勝をすべて経験している現役はこの3人だけで、彼らの息の合ったコンビプレーは多くのファンを魅了した。

カリーは21年オフに、2022-23シーズンからスタートする4年2億1500万ドルの延長契約を結び、グリーンも昨夏に4年1億ドルで延長契約を締結。しかし、今夏に完全FA(フリーエージェント)となったトンプソンは現地時間7月1日、サイン&トレードでダラス・マーベリックスへ移籍することとなった。

リーグ屈指のピュアシューターの退団でウォリアーズ王朝はついに終焉を迎えたが、元NBA選手のブランドン・ジェニングスはチームの崩壊は2年前に始まっていたと指摘する。

元ウォリアーズのギルバート・アリナスのポッドキャスト番組『Gil's Arena』に出演したジェニングスは、「ウォリアーズはパンチ以来、煮詰まっていた。正直に言うと、あのパンチで王朝は終わった。時間が大幅に奪われただけで、それ以来、彼らは一度も正しいことをしていないと思う」と語った。
ジェニングスがターニングポイントに挙げた「パンチ」とは、22年10月のトレーニングキャンプ中に起こったグリーンとジョーダン・プール(現ワシントン・ウィザーズ)による乱闘事件。練習中に口論の末にプールがグリーンを突き飛ばし、これに怒ったグリーンがプールの顔面を殴り、その映像が流出したことで大騒動に発展した。

その後両者は和解したと報じられたものの、ディフェンディング・チャンピオンとして挑んだ22-23シーズンは開幕から波に乗り切れず第6シードに。プレーオフでは1回戦でサクラメント・キングスを7戦の末に退けたが、カンファレンス準決勝で7位のロサンゼルス・レイカーズに敗退。

シーズン後にグリーンは「開幕前に起きた騒動が、チームにとって最後まで尾を引いていた」と振り返ったように、この“内紛”がチーム全体に与えた影響は大きかった。

結局フロントは前年に延長契約を結んだばかりのプールをウィザーズに放出。代わりにベテラン司令塔のクリス・ポールを加えたものの、昨季は主力のケガやグリーンの出場停止、トンプソンやアンドリュー・ウィギンズの不振と様々なトラブルに見舞われ、プレーオフにも進むことができなかった。

そして迎えた今オフ、トンプソンが去ったチームはFA市場でディアンソニー・メルトン、サイン&トレードでカイル・アンダーソンを獲得。トンプソンの後任にはシューターのバディ・ヒールドをサイン&トレードで獲得する噂もあるが、現状で優勝を狙えるほどの戦力は有していない。

カリーは来年3月に37歳、グリーンは2月に35歳を迎える。彼らが現役中に、ウォリアーズが再び頂点に立つ日は来るだろうか。

構成●ダンクシュート編集部

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