横浜市の「産後ケア事業」死亡事故訴訟 両親「適切な運営ルールづくりを」

横浜市の「産後ケア事業」で生後2カ月の女の子が死亡した事故をめぐり、両親が市などを相手に損害賠償を求めている裁判が横浜地裁で始まりました。

おととし6月、横浜市の委託を受け産後ケアを行っていた助産院で生後2カ月の茉央ちゃんが呼吸をしていない状態で見つかり、死亡する事故がありました。

訴えによりますと、異変は母親が就寝中、別の部屋で面倒を見ていた助産師がミルクを飲ませおよそ30分間目を離した間のことで、死因はミルクを詰まらせた窒息死だったということです。

3日始まった裁判で遺族側は「安全管理の義務を怠った」などと指摘して、市などに8800万円余りの損害賠償を請求。

一方、市側は「横浜市の産後ケア事業には預かりのサービスは含まれず、助産院が引き受けたこと」などと訴えの棄却を求めました。

茉央ちゃんの両親「全国に必死に頑張っているお母さんがいると思います。産後ケアサービスはそんなお母さんにとって、すごく救いになるサービスなのでなくなってほしくはないです。 ただ明確になったのが本当に薄いルール、ちょっと足りない部分が多いんじゃないか。しっかりとした体制で運営してほしいのが願いです」

取材に対し、母親は茉央ちゃんが第一子で睡眠時間もあまりとれなかったことから産後うつの傾向があり、父親も仕事の繁忙期と重なりほとんど「ワンオペ」で子育てをしていたと明かしました。

そうした中で保健師から「預かってゆっくり眠れる」と紹介され、産後ケアを3回利用。 利用中も助産師から預かりの申し出があったため、「積極的に預かってくれるんだな」と感じたといいます。

そのうえで、「当初利用した時は本当に心も体も休まりました。 今後二度と茉央のような目にはあってほしくないし、せっかく休めるサービスなのにそこから一切子育てができなくなってしまった私のような人が現れないようにしてほしい」と訴えました。

一方、横浜市の担当者は「これから裁判を進める状況なので、コメントは差し控えます」としています。

また、両親は担当の助産師に対し、業務上過失致死容疑で鶴見警察署に告訴状を提出し、3日付けで受理されたということです。

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