及第点以上はわずか4人…EURO2024敗退のイタリア代表全選手を母国紙が査定! また「チームをより安全に導くため」と指揮官への提言も

EURO2024のラウンド・オブ・16では、イタリア代表がスイス代表に0-2の完敗を喫し、ディフェンディングチャンピオンは早々に大会から姿を消している。

開始23秒でいきなり先制ゴールを許したアルバニア戦こそ、その後は好パフォーマンスを発揮して逆転勝利(2-1)を飾ったものの、続くスペイン戦では0-1というスコア以上の防戦ぶりで、グループ最終節のクロアチア戦は終了間際のゴールで何とか追いついて(1-1)2位を確保。しかしスイス戦では守備は翻弄され、攻撃では枠内シュートわずか1本と効果的なプレーがほとんど見られないまま、あえなく終戦の笛を聞く羽目となった。

ルチアーノ・スパレッティ監督は「全ての責任は私にある」、キャプテンのジャンルイジ・ドンナルンマは「失望させてしまった人々に謝罪したい」とコメントを残し、これに対してイタリア国内メディアの流すニュースの見出しには「恥」「災害」「衝撃的」「屈辱」といった単語が並んだ。
2018年ロシア・ワールドカップ予選で出場権を逃して世界中を驚かせた後、ロベルト・マンチーニ監督の下でチームを立て直し、EURO2020(コロナ禍で2021年に開催)では1968年大会以来2度目の欧州制覇を果たした「アッズーリ」だが、2022年カタールW杯でも予選突破に失敗。どん底に突き落とされたカルチョの威信を回復するためにも好成績が必要だった今夏、彼らを待ち受けていたのは、さらなる屈辱だった。

代表チームの早すぎる帰国を受けて、スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は今大会のアッズーリ各選手を評価。当然ながらそれは非常に厳しいものとなり、10点満点の採点で及第点の「6」以上を与えられたのは、全26選手で評価対象となった20人+監督のうち、わずか4人だった。全選手の採点は以下の通り。

7.5点:GKドンナルンマ
6点:DFリッカルド・カラフィオーリ、FWマッティア・ザッカーニ、DFアレッサンドロ・バストーニ
5点:MFニコロ・ファジョーリ、DFアンドレア・カンビアーゾ、MFニコロ・バレッラ
4.5点:FWジャコモ・ラスパドーリ、MFブライアン・クリスタンテ、DFマッテオ・ダルミアン、DFフェデリコ・ディマルコ、FWステファン・エル・シャーラウィ、FWフェデリコ・キエーザ、MFロレンツォ・ペッレグリーニ、MFダビデ・フラッテージ、DFジャンルカ・マンチーニ
4点:MFジョルジーニョ、FWマテオ・レテギ、FWジャンルカ・スカマッカ、DFジョバンニ・ディ・ロレンツォ、スパレッティ監督
寸評では、好守連発でチームを何度も救ってきたドンナルンマについて、「彼のセーブがなければ、グループステージでおそらく1ポイントしか取れずに敗退していただろう。真のキャプテンだ」、CBながらクロアチア戦では見事なドリブルでアッズーリを敗戦から救い、一躍優良銘柄となったカラフィオーリを「クオリティーと安定感を持った選手で、アッズーリは将来を担うCBを見つけたと言えよう」と、それぞれ賛辞を贈っている。

一方で、最低採点を与えられたひとりであるスパレッティ監督に対しては、「彼が想像していたような、積極的なイタリアの姿は全く見られず、アイデアも走力もないチームは、絶え間ないフォーメーションの変更に振り回された。監督就任からあまり経っていない上に、与えられた準備時間を有効活用できなかったように感じられる」と、その責任を指摘した。
サンドロ・トナーリ、デスティニー・ウドギ、フランチェスコ・アチェルビ、ジョルジョ・スカルビーニ、ドメニコ・ベラルディ、ニコロ・ザニオーロといった、本来ならスタメンにも入れる選手を出場停止や怪我で欠くというハンデも背負わされた指揮官に対して、同メディアは「戦術的な一貫性を保つ必要がある。これはチームをより安全に導くために最も緊急に必要なことだ」と主張している。

同メディアは、「この2週間、アッズーリにはプレーのクオリティーだけでなく、魂も欠けていた。ザッカーニのゴールで16強入りを果たした時、我々は青い星が突然にして再び輝き始め、チームも同様に復活すると期待した。しかし、運は努力に見合うものでなければならない。そして明らかに、今回はそのケースではなかった」と今大会を総括したが、この先も長く暗黒時代が続くのか、あるいはこの屈辱が「良い薬」となるのか。続投が決まったスパレッティ監督が率いる新生チームの動向を見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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