熊本工業 「抜群のコントロール」の注目右腕 ピンチ乗り越える “エースの投球”で3年ぶり優勝狙う【夏の高校野球 熊本大会】

7月6日に開幕する夏の高校野球熊本大会。今回は、大会注目の右腕、廣永大道(ひろなが だいち)投手(3年)を擁する、熊本工業を紹介します。

「最速146キロ右腕」が欠かさない日課

3年ぶり23回目の夏の甲子園出場を目指す第4シードの熊本工業。創部101年目の夏にエースナンバー「1」を背負うのが廣永投手です。

身長182センチ、体重78キロの右腕から繰り出す最速146キロのストレートに加え、カーブ、カットボール、スライダー、チェンジアップも操ります。

しかし、こだわりはストレート。

熊本工業 廣永大道 投手(3年)「自分の武器はストレートだと思っています。ストレートを軸にして相手打者を抑えていきたい」

高校入学当初から最速137キロを投げていましたが、140キロ台後半まで急速が上がった要因の一つが「柔軟性」です。

投手出身の田島圭介(たじま けいすけ)監督から教わったのが、肩周りと胸周りのストレッチ。1年生の冬からほぼ毎日、特にブルペンでの投球練習前にストレッチを続けたことで、腕の可動域が広がり、球速は10キロ近くアップしました。

廣永投手「投げる時に胸の張りが使えるようになったことで、ストレートの球速が上がったと思います」

このストレッチは良い面での「副作用」も。ストレッチがけがの予防にもつながり、高校では肩や肘のけがはありません。

そうした成長から、「最速146キロ右腕」として注目されますが、本人はボールのキレや伸び、そして何よりコントロールに自信を持っています。

バッテリーを組む吉岡伸(よしおか しん)捕手(3年)も…

吉岡伸 捕手(3年)「ストレートは10球中ほぼ10球が構えたところに来る精度。ストレートは信頼を持っています」

廣永投手「ストレートはだいたい思い通りの所に投げられています。調子が悪くて球速が出ない時でも、コントロールがあれば、ある程度抑えられる」

去年の悔恨、磨いた「制球力」

そんな廣永投手は去年夏の熊本大会で背番号10を背負い、準々決勝の九州学院戦では先発マウンドを任されました。

しかし5回途中4失点(自責1)でマウンドを降りることに。チームも3-5で敗れました。

当時、試合ではピンチの場面で制球ミスも少なくありませんでした。

この試合でも「自分のミスで負けてしまった」と肝心な場面での制球ミスに責任を感じた廣永投手。それ以降、練習試合でピンチの場面でも、強気の投球を心掛けて精神面を強化しました。

そして3年生になり、「直球は10球中10球が構えたところに来る」との評判を呼ぶほど制球力が高まりました。

3年前に憧れた光景 『自分も熊工で甲子園へ』

熊本工業の3年生は、中学3年生の時に、夏の熊本大会を制した熊本工業を見て憧れを抱いた世代です。

濱口翔太 主将(3年)「甲子園の舞台に憧れ、『自分も熊工で甲子園に行きたい』と思い入学しました。熊工部員106人の甲子園への思いは、どのチームよりも強い」

今やエースナンバーを背負う廣永投手も、決勝戦をスタンドで観戦して熊本工業への進学を決めた一人です。

廣永投手「この夏はピンチの場面からの登板もあると思いますが、その場面でエースがピンチを抑えればチームも乗ってきます。ピンチの場面でどのような投球ができるかが鍵だと思う」

3年前の熊本工業も決勝で熊本北に先制されながら、粘り強い投球で乗り切り、逆転で甲子園への切符をつかみました。

スタンドで見た熊工の優勝の光景を、次は仲間とグラウンドで――。その決意を胸に、今月13日に予定されているリブワーク藤崎台球場(熊本・中央区)での初戦に臨みます。

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