NHK党による故三浦春馬さん「都知事選ポスター無断使用」にアミューズが猛抗議…選挙悪用に“つける薬”は?

悪用が目立つ東京都知事選のポスター掲示板(C)日刊ゲンダイ

過去最多の56人が立候補した今回の東京都知事選で違和感を覚えた一つが、選挙ポスターだろう。

〈当社は強い憤りを覚えており、またご遺族も大変心を痛めております〉

大手芸能プロ「アミューズ」が猛抗議しているのが、同社所属だった俳優の故・三浦春馬さん(享年30)の名前と肖像画がポスターに無断使用された件だ。2020年7月に亡くなった三浦さんは今回の選挙と一切関係がないにもかかわらず、一部掲示板の「NHKから国民を守る党」の枠に、三浦さんの名前と肖像画のほかQRコードが掲載されたポスターが貼り出され、問題となった。

〈ポスターを上から貼って三浦春馬様の氏名と肖像が見えないように、対策させて頂きます〉

同党の立花孝志氏は6月28日に公式Xでこうコメントし、陳謝した。だが、三浦さんのポスターのほかに、“国土交通省!”と書かれたポスターや、キックボクサーぱんちゃん璃奈氏のポスターなど、同党によって選挙と無関係のポスターが氾濫することに。

確信犯的に掲示板を悪用した初めてのケース

「都知事選に24人の候補者を擁立したNHK党が、“立候補者の、写真や名前は掲載出来ませんが、あなたやあなたの大切な人の写真や氏名は掲載できます”と、2万5000円の寄付をした人が掲示板1カ所に好きなポスターを24枚掲示できると呼びかけたことで、こういう事態になった。法の網の目をかいくぐり、確信犯的に掲示板を悪用した初めてのケースです」(スポーツ紙記者)

本来の目的外で“バズった”ポスター騒動について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう話す。

「こうしたことが起こると、“供託金の額を上げろ”など公選法改正を言い出す声が必ず上がりますが、それだと金持ちや2世議員しか立候補できなくなったり、こうした不作為が起こるたびに法律を改正していては、権力者が一般人の生活をがんじがらめにしてしまうきっかけを与えてしまいかねません」

ビジネスやバズリを目的としたともとれる、こうした悪用に“つける薬”はあるのか。

「56人が立候補していても焦点が自民や立憲などが支援する主要候補にばかり当たり、多様化からかけ離れている中、今回の件は別の注目を集めた一種の民主主義のコストとも言えます。無駄でくだらない子どものいたずらのようなことを彼らは世間の空気を読みながらあえてやっているところがあるので、それが大人の良識に反しているという空気や声で制していくことが大事ではないでしょうか」(井上トシユキ氏)

とはいえ、ワル知恵が働く者による悪用がなくなることはないのだろう。

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