退職金の手取りを増やすには?退職所得控除で手取りはどれだけ変わる?【定年後も安心がずっと続くお金のつくり方】

退職金の手取りを増やす

額面そのままで手取り額を増やす

一時金として退職金を受け取る場合、「退職所得控除」という非課税枠があることは先述した通りです。この退職所得控除は勤続年数が長ければ長いほど控除額が拡大され、勤続年数が1年増えるごとに70万円、勤続年数が20年以下の場合は40万円非課税枠が増えます。

退職所得控除を利用すると会社から支給される退職金の額面はそのままでも受け取る手取り額を増やすことができます。

退職前に退職日を調整する

退職所得控除は勤続年数によって決まるので、退職日を調整して控除額を増やすこともできます。勤続年数は年未満の端数がある場合切り上げされるので、たとえば、19年11カ月の勤続年とすると、あと1カ月と数日の勤務実績で21年の勤続年となります。

退職日の設定は法定で定められているわけではなく、会社と従業員の間で任意で設定できるので、退職日が調整できるか、会社に事前に相談してみましょう。

退職所得控除の一例

一方で、2022年からは勤続5年以内の従業員については課税額が半減される範囲が減少しました。短期間の契約の場合には、最終的な手取りがどうなるか計算して給与・退職金を設定する必要があります。

退職所得控除は勤続年数が長いほど控除額が拡大されます。20年以上の勤続年数で1年増えるごとに70万円も控除額が変わってくるので、勤続年数に端数がある場合は会社に相談して退職日を調整するなどしましょう。

【出典】『定年後も安心がずっと続くお金のつくり方』著:皿海信之 監修/三浦絵美 監修

【書籍情報】 『定年後も安心がずっと続くお金のつくり方』 著:皿海信之 監修/三浦絵美 監修 老後資金二千万と言われる時代ですが、年金受給開始はどんどん先延ばし。雇用延長が義務付けられたとはいえ大抵の場合収入は激減。「60歳定年前後」の身の処し方、資産の運用方法は、老後を生きる上で重要な決断となります。会社も役所も何も施してはくれません。自力で道を切り拓くしかないのです。行政においても雇用保険、健康保険、年金など、手続きすれば利用できた仕組みをみすみす見逃して結果的に損をしてしまうこともよくあります。知っておきさえすれば手に入れられたアナタの大切な資産なのです。また、定年前後で最大のテーマは「退職金の運用」です。この低金利・インフレ時代に銀行預金として放置しておくのは無策でしかありません。新NISAを始め、不動産運用など、アナタに合った資産運用を考えてみましょう。 老後を安心して生きるための指南書です。

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