パリ五輪サッカー男子代表発表の舞台裏 メダルの勝算は…まさかの「OA枠不使用」「主軸抜き」

選出された大畑ら(左)(C)提供写真

大岩剛監督率いるパリ五輪の代表メンバー18人が昨3日、発表された。24歳以上のオーバーエイジ(OA)3人枠の起用はなく、主軸とみられていたFW松木玖生(FC東京)の招集外が「最大のサプライズ」(元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏)となった。

松木とともに五輪メンバー入りが有力視されながら、選外となったベルギー1部シントトロイデンのGK鈴木彩艶は、イタリア1部パルマへの移籍が取り沙汰され、メンバーから外れた。

松木が外れたのも「同じ理由でしょう」と前出の六川氏がこう続ける。

「松木の今季中の海外移籍はFC東京内では既定路線でしたが、あくまでパリ五輪で活躍して、自らの商品価値を高めて好条件で移籍するとみられていました。移籍話が一気に進展し、移籍先のチームが五輪期間後の合流に難色を示したと思われます。ちなみに会見場には、松木の招集外に驚いていたFC東京関係者がいました。ここ数日で移籍話が具体化していった可能性もあります」

■OA候補も移籍交渉に支障きたす恐れ

OA枠に関しては、以前から大岩監督は「起用したい」と明言。英プレミア・リバプールのMF遠藤航(31)、独1部ボルシアMGのDF板倉滉(27)、オランダ1部フェイエノールトのFW上田綺世(25)、ベルギー1部サンジロワーズ所属で大岩監督の鹿島監督時代の愛弟子であるDF町田浩樹(26)らの起用が噂されていた。

「遠藤に関しては、リバプールの監督が交代したばかり。チームを一時離脱しずらくなった。移籍交渉中と言われている板倉や町田は、この時期に代表に拘束した場合、移籍交渉に支障をきたす可能性も出てくる。協会としても、選手のステップアップの邪魔をするわけにはいかない。涙を飲んで断念したというのが本音でしょう」(六川氏)

主軸の松木、鈴木抜きでOA枠も使わない。大岩ジャパンは五輪本大会でメダルが取れるのか?

「五輪直前にOA枠の選手を入れても、必ずしもチーム力のアップに直結するとは限らない。中途半端にOA枠を使うよりも23歳以下の選手で本大会に臨むのがベターでしょう。OA枠よりも五輪世代のスペイン1部FW久保建英(ソシエダ)とデンマーク1部MF鈴木唯人(ブレンビー)を招集できなかったことが痛手。アジア王者としてパリ五輪に臨む日本代表ですが、パリでメダルを獲得するのは非常に厳しい状況です」と六川氏。

大岩監督は会見で「金メダルを目指す」と力を込めたが、パリではいばらの道が待っている――。

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