【コラム・天風録】青春は年齢でない

 青春とは人生のある期間ではなく/心の持ち方をいう―。米詩人、サミュエル・ウルマンの「青春」(作山宗久訳)はこう始まる。若さを裏付けるのは情熱や冒険心であり、年を重ねただけで人は老いないと説く▲アラバマ州で後半生を送り、市教育委員などを退いた後に創作活動を本格化。「青春」は78歳で書いたという。老いる自分を励ます思いがあったのかもしれぬ。今年没後100年になる▲意外にも米国では知名度が低いらしい。「青春」が日本で親しまれているのは、連合国軍総司令部のマッカーサー最高司令官がこの詩を非常に気に入り、演説でよく引用した影響と伝わる▲本紙広場面のある投稿を思い出す。地域で老人クラブの解散が相次いでいるという。主な理由は、会員が年を取り過ぎて役員が足りないこと。老人クラブが高齢化のため続かないとは、皮肉に過ぎる。青春を謳歌(おうか)できる場が、多く残ればいいのだが▲超高齢社会はお年寄りに笑顔で過ごしてもらうことでうまくいく。ウルマンは、時には20歳の青年よりも60歳の人に青春があるとも書いている。後者に近い当方。取りあえず、ため息と舌打ちをやめることで青春を取り戻し始めようか。

© 株式会社中国新聞社