【感染症ニュース】手足口病全国定点6.31 前週比約33%で13週連続の増加 医師「例年7月にピーク」

引き続き注意!

手足口病の患者が急増しています。国立感染症研究所の2024年第25週(6/17-23)速報データによると、手足口病の全国の定点当たり報告数は6.31。13週連続増加中で、前週(第24週)4.73と比較すると約33%増加しています。三重県16.36・兵庫県11.12・滋賀県10.36・鹿児島県10.02などで多くの患者報告数が上がっています。また、34の都府県で警報基準である5.0を超えています。現状について、感染症に詳しい医師を取材しました。

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手足口病とは?

手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発しんが出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。子どもを中心に流行し、例年報告数の90%前後を5歳以下の乳幼児が占めています。病気の原因となるウイルスは、主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)で、その他コクサッキーウイルスA10などが原因になることがあります。

感染経路は?

感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染です。特にこの病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、子どもたちの同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることなどから、注意が必要です。また、乳幼児では手足口病の原因となるウイルスに感染した経験がない者の割合が高いため、感染した子どもの多くが発病します。

主な症状は?

感染してから3〜5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2〜3mmの水疱性の発しんが出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はなく、ほとんどの発病者は数日間のうちに治る病気です。治療のための特効薬はなく、対症療法になります。しかし、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「手足口病の流行が北海道・東北地方・沖縄などを除き全国的に広がっています。例年、手足口病は、7月にピークを迎えます。第25週(6/17-23)は、6月中のデータですので、増加は、もう少し続くと予測していますが、ピークがいつなのか見極めが必要な時期です。流行規模の予測は、困難ですが、7月の上旬辺りまでは、注意が必要でしょう。国立感染症研究所のウイルス検出状況によると、検出されているのは、ほぼCA6型となっています。CA6型による手足口病の症状は、発疹が大きく、体幹部にも表れることがあり、発疹の部位によっては、痛みやかゆみを伴うこともあります。手足口病が流行すると、『水ぼうそう』の患者報告数が増えることがありますが、これは、CA6型による 手足口病の誤診の可能性も考えられます。医療関係者の方も知っておいて頂ければと思います。また、同属性ウイルスが引き起こすヘルパンギーナも第25週は、増加しています。手足口病・ヘルパンギーナ罹患時に、気がかりなのは、口腔内の水疱が破れ、痛みが伴うことです。お子さんは、痛みが生じることで、食事や水分補給を嫌がる場合もあります。夏に向けて気温が高くなる時期ですので、脱水症状を起こさないよう、保護者や周りの方は、じゅうぶん気を付けてあげてください」としています。

手足口病の予防は?

手足口病には有効なワクチンはなく、発病を予防できる薬もありません。治った後も比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあり、小さな子どものおむつの交換などから感染することがあります。一般的な感染対策は、手洗いをしっかりすることと、排泄物を適切に処理することです。保育施設などの乳幼児の集団生活では、子どもも職員も流水と石けんで十分に手を洗うことが重要です。また、タオルの共用はしてはいけません。

引用
国立感染症研究所:IDWR速報データ2024年第25週
厚生労働省:手足口病に関するQ&A

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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