新紙幣発行始まる 両替客詰めかけ 「コレクションに」「自慢したい」 茨城

受け取った新紙幣を見る女性=3日午後、水戸市南町の常陽銀行本店

日銀は3日、約20年ぶりにデザインを刷新した1万円札、5000円札、1000円札の3種類の紙幣を発行した。視覚障害者向けの識別マークも一新された。茨城県内金融機関では同日、新紙幣をいち早く手にしようとする市民が詰めかけた。

1万円札の肖像は福沢諭吉から渋沢栄一に交代。5000円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎に変更された。偽造防止のため、肖像の3D画像が回転するように見えるホログラム技術を世界で初めて導入した。

常陽銀行(同県水戸市)の本店営業部では同日午後1時に窓口で両替が始まり、約150人が新紙幣に交換。一番乗りした同県ひたちなか市の和知竹夫さん(74)は「ホログラムに感心した。コレクションとして保管したい」と話した。

筑波銀行つくば営業部(同県つくば市)には両替専用窓口が開設され、約60人が来店。同市、会社員、香月達哉さん(39)は新紙幣3種類を手に「家族に自慢したい」と笑顔を見せた。

新紙幣は誰でも使いやすいユニバーサルデザインに対応。県視覚障害者協会の軍司有通理事長(74)は「分かりやすくて助かる。バリアフリーの点で大いに進歩した」と語った。

一方、近年はスマートフォンをかざして商品代金などを支払う電子決済が普及したためか、新紙幣に関心が低い人も見受けられる。同市の20代女性は「普段から現金は持ち歩かないので生活に変化はない」と話した。

常磐大の文堂弘之教授(経営学)は、新紙幣発行を「キャッシュレス化が進む一つのきっかけになる」と予測。自動販売機や券売機など新紙幣対応の機器導入の煩雑さなどを挙げ、「今までよりキャッシュレスを重視する事業者が増えるだろう」と述べた。

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