市営室内プールで小学校の水泳授業、なぜ? 背景に「泳力低下懸念」「学校プール老朽化」 教員の負担軽減にも期待

小学生が水泳の授業を受けるのは、学校のプールではなく、市営の室内プールです。こうした取り組みの背景には、学校現場の水泳の授業を取り巻く様々な課題があるようです。

澤田祥太 記者
「うだるような暑さの中、境港市内の児童がプールの授業を行なっているのは、室内プールです」

3日、鳥取県境港市の市民温水プールで、外江小学校4年生の水泳の授業が報道公開されました。

境港市が今年度、市内の2校を対象に始めたのが、こうした学校以外でのプールの授業です。
指導には、教員のほかにインストラクターが入ります。

児童は
「外は暑いので気持ちよく泳げたのが楽しかったです。苦手だったんですけど、コーチが教えてくれるので前のプールより上手く泳げて良かったです」
「息継ぎ、先生方が教えてくださってだいぶできるようになりました」

こうした取り組みは、なぜ始まったのでしょうか。

外江小学校 松尾忠光 校長
「子どもたちの泳力向上が1番だと思っていて、学校でのプール管理もかなり職員に負担をかけてきた部分がありますし、プールの老朽化も一つあるのかなと思います」

背景にあるのが、学校の水泳の授業を取り巻く諸課題の解決です。

まず、泳力向上について。

以前開かれていた体育大会や放課後の水泳練習は教員の働き方改革などの理由で近年廃止に。加えて、コロナ禍で水泳の授業が制限されると児童の泳ぐ機会が減少し泳力低下が懸念された為、今後は専門の指導員の力を借りて、児童の泳力向上を図ろうというわけです。

そして、学校外の施設を使うことで、プールの管理業務など教員の負担を減らすことも期待されます。

そして、プールの老朽化については…

外江小学校 松尾忠光 校長
「今年度1年間使わないとなると、機械の方も難しくなるのかなと考えています」

境港市内の学校プールの多くが、建設からおよそ50年以上経ち老朽化しています。

隣の米子市でも、今後学校のプールの新設や改修は行わず公営や民営のプールを活用する方針が示されましたが、境港市も、こうした外部の施設を活用していきたい考えです。

境港市教育委員会事務局 柳樂力人 主査
「今年度の成果を見ながら、来年度以降は全小中学校で水泳の学習を行えるように、今検討しています」

児童の泳力を養う学校のプール授業は今、大きな転換期を迎えています。

© 株式会社山陰放送