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3日から新紙幣の発行が始まり、1万円札の「顔」は1984年以来、40年間担ってきた中津市ゆかりの啓蒙思想家福沢諭吉が交代した。古里の同市や東京都内では長年の功績をたたえる催しがあり、「今までありがとう」「寂しいけどこれからも顕彰する」と感謝や惜しむ声が相次いだ。
「今後も地方から世界に羽ばたけるような地域づくりをしたい」。3日、東京証券取引所であった1万円札の引き継ぎ式で、奥塚正典中津市長は近代化の立役者である福沢諭吉に思いをはせてあいさつした。
新しい肖像の渋沢栄一の出身地・埼玉県深谷市の小島進市長とともに、偉人2人の精神を発信していくことを宣言。バトンを託した。
福沢諭吉が幼少から青年までの時代を過ごした中津市ではこの日、一家の暮らした旧居と隣接する福沢記念館が特別に無料開放された。地元の歴史ガイド約10人もボランティアで駆けつけ、訪れた観光客らに生涯や功績を丁寧に解説した。
泉史朗館長(65)は郷土の情報発信にもつながった40年間を振り返り、「交代は寂しいが、それ以上に感謝の気持ちでいっぱいだ」としみじみ語った。
「中津の郷土史を語る会」の史跡案内部長で、ガイド歴25年の岡本慶子さん(74)=同市高瀬=は「(市外で)詳しく知る人は意外に少ない。顕彰への新たなスタートにして、ファンを増やしていきたい」と意欲をにじませた。
佐藤樹一郎知事も2日の定例会見で「一つの時代が次の時代に移るということだと思う。福沢先生、大変お疲れさまでした」とねぎらいの言葉を述べた。
新紙幣は早速、県内各地へ届けられた。日本銀行大分支店では、約82億円分が地銀や信用金庫などに引き渡された。旧紙幣は引き続き使えるものの、流通量は徐々に減っていく見通し。
安徳久仁理(くにまさ)支店長は「福沢諭吉と同じく、新たな紙幣の『顔』もそれぞれ立派な人たち。早くなじんでいただければ」と語った。