錦織圭はウインブルドン1回戦敗退。世界76位相手にリードするもフルセットで逆転を許す<SMASH>

現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」は現地7月3日、前日に途中順延となった男子シングルス1回戦が行なわれ、度重なるケガからの完全復活を目指す元世界ランク4位の錦織圭(現401位)が登場。アーサー・リンダークネッシュ(フランス/同76位)に7-5、4-6、7-6 (2)、3-6、2-6のフルセットで敗れ、残念ながら2回戦進出とはならなかった。

2021年以来3年ぶり13度目のウインブルドン出場となった今大会にプロテクトランキング(負傷離脱前の順位でエントリーできる救済措置)48位で参戦した34歳の錦織。現地2日に組まれた1回戦は悪天候の影響で予定よりも大幅に開始が遅れ、錦織から見て7-5、4-6、1-1となったところで日没順延となっていた。

3日も雨天で進行が遅れ、試合は日本時間23時過ぎに再開。直後の第3ゲームでは錦織が代名詞のバックハンド・ダウンザラインとフォアハンドのウイナーを立て続けに決めるなど、上々の滑り出しを見せてキープに成功する。第5ゲームではリンダークネッシュの深いリターンに手を焼いて2本のブレークポイントを握られるが、ここも何とか踏ん張ってリードを許さない。

すると第6ゲーム、錦織は40-0から4連続ポイントを奪ってブレークチャンスを獲得。ここは取りこぼしたものの集中力は切らさず安定したプレーを継続していく。結局両者共に1度もブレークできず、第3セットはタイブレークに突入。ここでは錦織が相手のミスに付け込んで主導権を握り、セットポイントを1回で取り切って勝利に王手をかけた。
ゲームが進むにつれ、フォアのクロスを起点としたポイントが増えていく錦織。リンダークネッシュの強打もしっかりと跳ね返し、相手に流れを渡さない。しかし第4セットは終盤の第8ゲームでリンダークネッシュの強力なリターンに苦しみ、4度のデュースの末に痛恨のサービスダウン。ファーストサービスでのポイント獲得率が59%にとどまったことや、第4ゲームのブレークチャンスを生かせなかったことが響き、2セットオールに持ち込まれてしまう。

勝負のファイナルセットは第1ゲームでいきなり山場が訪れる。調子の良かったフォアのクロスでミスを連発した錦織は0-40の大ピンチを迎えたが、ここはベテランらしい冷静なプレーでしのぎ切る。だが第3ゲームでリンダークネッシュにスライスサービスを対応されてリードを奪われると、第7ゲームでもブレークを喫して万事休す。2日がかりの熱戦をものにできず初戦敗退となった。

久々の聖地ウインブルドンは悔しい結果となってしまったが、足首のケガの不安があった中で最後まで戦い切れたのは収穫になったのではないだろうか。次戦は「ノルデア・オープン」(7月15日~21日/スウェーデン・バスタッド/クレー/ATP250)に出場予定で、その後はいよいよパリ五輪(テニス競技は7月27日~8月4日/クレー)を迎える錦織。万全のコンディションでメダル獲得に臨んでほしい。

文●中村光佑

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