阪本奨悟&永田崇人が語り合う、お互いの役の魅力 歴史上の人物を演じるプレッシャーは?

テレビ朝日にて放送中の『君とゆきて咲く ~新選組青春録~』は、新選組隊士たちの儚い青春を、歌やダンスも交えながら描く新感覚の時代劇。

主人公の鎌切大作(前田拳太郎)ら新人隊士たちを厳しくも暖かく見守るのが、4人の新選組の幹部隊士だ。特に土方歳三(阪本奨悟)と山南敬助(永田崇人)は新人隊士たちに近い位置で指導に当たっている。

キャストの中でも年長者である阪本と永田に、お互いの役の魅力や、自分たちよりも若いキャストたちから影響を受けている点について語ってもらった。

歴史上の有名人を演じることへのプレッシャー

――お2人が演じる土方歳三と山南敬助は、実在する人物の中でも、新選組を題材に扱った既存の作品でのイメージが強いキャラクターだと思います。そういう人物を演じることに抵抗はありませんでしたか?

永田崇人(以下、永田):たしかに山南は今までもいろんな方が演じてきた人物ですが、誰が演じても同じということはないと思っているので、素直に嬉しかったです。少なくともネガティブな気持ちはありませんでした。

阪本奨悟(以下、阪本):僕は最初の頃、結構プレッシャーを感じてしまっていましたね。土方は“鬼の副長”と呼ばれるくらい厳しい人物で、台本でもしっかりとその部分が描かれているんですが、今まで僕がそういう役を演じてこなかったのもあり、一つ大きなハードルを乗り越えなきゃいけないなとは思っていました。ただ、僕は『刀剣乱舞』や『まほろばかなた』といった舞台作品で土方と関わりの深い役を演じてきて、個人的に土方歳三という人物が大好きだったんです。だから、今度は土方自身を演じられるんだ! という喜びもありました。

――撮影が進む中で、自分の役を掴んだと思えた瞬間はありましたか?

永田:テレビでオンエアはされていないんですが、撮影初日に探していた書類を斎藤が紙飛行機にして飛ばしてしまって、山南が大絶叫するシーンがあったんです。その時に、監督から「もっと暴れてもいいよ」とアドバイスいただいたことで、自分の中で山南敬助というキャラクターについて答え合わせができた気がしました。

阪本:土方は本当に難しい役で、真意を言葉にして表すことがほとんどないので、台本だけではどこまで感情が動いているのか分からない部分が多いんです。監督さんとも話し合いながら、自分なりの土方を振り切って演じているつもりではあるんですが、迷う時も多々ありましたね。

永田:でも客観的に見て、奨悟の土方っていいなと思うよ。というのも、奨悟ってベビーフェイスで、表情が柔らかいじゃないですか。だから、ただ怖い人には見えなくて、厳しい態度の裏には何かしらの理由があって、鬼になりたくてなっているわけじゃないんだろうなって思うんですよね。普通にしていても、人間味が漂ってくるところが奨悟の演じる土方のいいところだなって。

阪本:そう言っていただけて嬉しいです。

ーー逆に、阪本さんは永田さんの演じる山南のどこに魅力を感じていますか?

阪本:新選組の幹部陣を演じるキャストは、厳かな空気が漂うシーンの撮影が多いんですね。そういう時でも崇人が演じる山南はいい塩梅で空気を緩和してくれるんです。僕個人としても気持ちが和らぐので本当に助かっていますし、視聴者の方も肩の荷を下ろして楽しんで観られるようにしてくれているなと思っています。

チーム一丸となって生活している“新選組”

――東映太秦映画村で行われた記者会見にも参加しましたが、映画村や京都という土地で撮影していることが、お芝居に影響を与えている部分はありますか?

阪本:映画村のセットに助けられている部分は本当に大きいですね。素人みたいな感想で申し訳ないですが、最初に撮影に入った時は「ずっと観てきた時代劇の世界だ!」って思わず圧倒されちゃいました。新選組が屯所にしている道場の雰囲気もすごく良くて、毎回贅沢な気持ちになります。

永田:撮影の間はキャスト全員で同じホテルに泊まっているんですけど、そこからみんなで道場に向かっていると本当に新選組になった気持ちになるんですよ。あと、山南さんのお墓も京都にあるので、「僕を山南さんにしてください」ってお願いしに行ったこともあります。

――記者会見でもキャストの皆さんでお食事されたり、遊びに行ったりするとおっしゃっていましたが、本当に毎日一緒に生活されているんですね。

阪本:そうですね。よく大浴場でも会います。

永田:もう会いすぎて、後ろ姿を見ただけで誰か分かるもん(笑)。

――新選組の中で土方と山南は保護者的な存在ですが、現場でのお2人はどういう立ち位置なのでしょうか?

阪本:現場は終始和気あいあいとした雰囲気で、年下のキャストのみんなも積極的に話しかけてくれるので、楽しくやらせてもらっています。

永田:奨悟は童顔だから、他の子たちと並んでもあまり年齢差を感じないけど、僕は顔と態度がおじさんっぽいのかな? よく年下のキャストの子たちからジョークでおじさんいじりされますね(笑)。

――一緒に撮影している中で、年下のキャストの皆さんから影響を受けることもありますか?

永田:それこそおじさん臭いかもしれないですけど、若くてフレッシュな面々が揃っているので、一緒に撮影していると若返ったような気持ちになりますね。その若いエネルギーを借りながら、お芝居できているような気がします。

阪本:僕も全く同じ意見です。今までは年上の方々と一緒にお仕事させていただくことが多くて、自分が年上の位置にいること自体が新鮮なんですけど、 若い子たちからかなり刺激を受けています。最初はお互いに探り探りやっていた空気感も、いつしか解けて、今では役のこともお互い自身のことも理解し合えているような感覚がありますし、良い影響をいただいてますね。
(文=苫とり子)

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