人気占い師が語る「チャレンジすることが怖くなくなる」まさかの人生観とは?【後編】

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「新月満月HAPPY占い」で人気の占い師・山田ありす先生。実は、50歳目前にして占い師のキャリアに加えてクレープ屋を開業した(!)と聞いて、なぜクレープ屋?そもそもなぜ占い師と二足のわらじを?など、沸き上がる疑問にお答えいただきました。

前編・中編では、占い師になった経緯や前途多難な結婚生活、そして恩師との出会いや独立後のハードな日々をお届けしました。最終回は、体調どん底の時に出会ったクレープ屋さん、そして何歳になっても失敗を恐れない心持ち、その秘訣を取材しました。

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★PROFILE★
2007年開業以来、1万人以上鑑定。占いは当てるものではなく人生を自力でハッピーにするためのツール。

●2013年~「読売Life」の月間占い・2021年~2022年占いブログみのり/著書 説話社12サイン×10天体×12星座キーワード事典 山田ありす・トリン共著

どん底気分のときに輝いて見えたもの

―「健康第一な働き方を目指す」が、なぜ「クレープ屋さん」だったんですか?

話は前後してしまいますが、旦那さんが他のお仕事をし始めたころから、私も何か他のスキルを磨かなきゃと思ってYouTubeの勉強をし始めました。そのおかげで、コロナ禍に入り対面の鑑定ができなくてもオンラインでの発信はできていました。

クレープ屋さんへの関心は、そんなYouTubeの勉強を進めていくうちに、クレープを焼く動画にもハマったことも理由の1つでした。

さらに更年期の体調不良&メンタル絶不調の時に、たまたま訪れた人気のクレープ屋さんで見た光景が忘れられなくて。
おいしそうにクレープを食べてる人たちの笑顔、そして自分自身も食べた瞬間にさっきまでのどん底気分が吹っ飛ぶような高揚感を得られたんです。

―その経験から、「クレープ屋をやるしかない!」と?

そうそう(笑)。
ずっと座って鑑定をしたり、原稿を書く占い師の仕事を続けていたので、やっぱり人間は体を動かさなきゃなって思ったのがまず一つ。

あと、よく脱サラした方がラーメン屋さんや焼き肉屋さんを開業したりするじゃないですか。
あれって商品が1個だから、途中からでも参戦できると思うんです。それに以前のパン屋さんの卸売りをしていた時にスコーンを開発した経験もあって、1個の商品だったら私でもできるという自信がありました。

そんな感じで少しずつ起業に向けてテンションがあがっていったんです。

オープンまでの悪戦苦闘の道のり

―実際、やり始めたときの苦労は?

まずは物件探しから。
でも毎日クレープ屋さんにフルコミットできないと思っていたので、週3回くらいからスタートしたかったんです。となると家賃は下げないと運営していけない。ここがかなりネックとなり、物件探しは困難を極めました(泣)。

でも運命的に良い不動産屋さんに出会えて、今の物件に出会うことができたのです。

その日は射手座の新月の日。射手座の新月は物事が動く日なので、絶対ここで動かないとダメだ!ととにかくかたっぱしから条件にあてはまる物件はないか探していたら、ちょうどあります、と言ってくれて。
ただ当然、すべてにおいて満足とは言いがたく……。

昼はわかりづらく、夜はわかりやすいという(笑)クレープ屋さんには若干向いてないビルの造りに加え、特に前回が焼き鳥屋さんだったみたいで、油汚れがひどいのなんのって。
何度「飲食店 油汚れ 取れない」で検索したことか……。
油汚れと戦い、タイルの付け替えなども自分でして。やっぱり最初はお金をかけられなかったので業者を入れず、すべて自ら手作業でやりました。

70回以上の失敗をし、たどり着いたクレープ生地

―商品の開発も大変だったそうで……。

本当に!! 物件探しと並行して、クレープの生地作りの修行の日々です。家庭用の大き目のホットプレートで、70回以上は作りましたね。でもいろいろ微調整を繰り返したら、自分でもびっくりするくらいおいしい生地が作れたんです!

ですが、それをお店用のクレープ生地を焼く専門の台で焼いてみたら微妙に違うので、トンボの調整をしたり…と。今でも改善の余地はありそうです。

―今はオープンして3か月たちましたね。

はい。
最初のころって知人やお仕事関係の方が来てくれて、本当にそれはそれでありがたいのですが、正直それはクレープ屋さん自体のファンじゃないですよね。
でも近頃ちらほら、口コミ見てきました、とかリピーターのお客様もできたんです。
先日は一度目はお一人、二度目はお孫さんを連れてきてくださった年配のお客様も!
今はそういうことが私にとってとっても大きな喜びです。

「人がやらないことをやる」と人は見てくれる

私の中で、占い師=陰、クレープ屋さん=陽というイメージ。

なかなかいないじゃないですか、占い師やりながらクレープ屋さんもやってる人って(笑)。
もちろん狙っていたわけではなく、どちらかというと「これをやってきた自分はこうすべきだ」みたいな“過去と未来のつながり”を意識していないのだと思います。

それもこれも後先を考えない性格のせいではあるのですが(笑)。でもだからこそ人から「なぜ?」と興味を持ってもらえるのかもしれません。

正直、占い師は17年間やってきて、私の中ではけっこう頑張ったかなという気もしています。イベントもやったし、動画も作ったし、「もうええんかな」と。そういうことも含めて、クレープ屋さんをオープンした初期は「占い師であること」を表に出さないほうがいいと思っていました。

でもやっていくうちに自分の基盤にホロスコープというのがあって、だからクレープ屋さんも開業できることに至ったし、占い師の経験がなければ、はじめからお客さんも来てくださらなかった。
そう考えると、今までの自分を消すのも無理だな、と、受け入れる気持ちにもなれてきて、最近ではクレープ屋さんでも本業(ここでは、クレープを焼くこと)のかたわら、可能な時は鑑定も行うようになりました。

大事なのは自分のやりたいより「必要とされるかどうか」

―今のご自身の中で、占い師とクレープ屋さんの比重は?

ホロスコープは自分の軸になるもの。
迷った時はそれを指針にしています。なので、クレープ屋さんは占い師の仕事と比べるものではなくて、自分が使えるツールが増えたという感覚です。

結局私は「自分自身のやりたい」が弱いんです。
どちらかというと必要とされるかどうかのほうが大事。占い師として必要とされるのか、クレープ屋さんとして必要されるのか。
今はすごくクレープ屋さんで「おいしいよ」って言ってくれることに大きな喜びを感じますが、もしかしたらそれはスタートしたばかりの新鮮さによるものかもしれない。

なんでもそうですが、ニーズがなかったら継続することはできなくて、でもそれならそれで「あきらめなしゃーないな」と思える性格なんですね。

失敗はするもの。恥ずかしくないし、怖くない。

―50代に入るタイミングでこの選択をすることに怖さはありませんでしたか?

たぶん私、物事に対してあまり執着心がないんですよね。

例えば、占いにもっと執着していたとしたら、占いのYouTubeチャンネルの再生回数が落ちてきたとき、すごくあわてちゃうと思うんですよ。でも「それはそれでまーえーわ」って思えてしまう。

成功体験も自信もあるわけじゃないから、自分にも周りにもあかんかってんって言える。
クレープ屋さんもこれから先どうなるかわかりません。もし失敗したとき「失敗しちゃった~」と言えないと思うと、怖くて踏み出せなかったでしょう。

―確かにクレープ屋さんのインスタグラムでは失敗作を投稿していましたよね?

そうそう、初めのころの投稿は見た目もダメ、味もダメな失敗作(笑)。
でもそれが私だし、こういうことをあまり恥ずかしいと思っていないんです。どこかで「私は絶対失敗するからなー」というのが頭にある。ずっとそのキャラで生きているから(笑)、ある意味踏み出すのが怖くないのかもしれませんね。

年齢を重ねれば重ねるほど「チャレンジが怖い」とか「新しいことに踏み出すのに躊躇する」となってしまう方はたくさんいらっしゃいます。鑑定でもよくそういったお話を聞きます。

でもそんなときは、ここにこんなに失敗を重ねてる人間がいることを思い出してほしいです。(私のように、とはまったく思いませんが笑)失敗しても、またやり直すことは可能だし、全く違うことをはじめたっていい。

ご時世的にもまだまだ先は長い。いろんな経験、いろんな失敗を重ねていく方が私は「人生豊かだな」と思います。
そして、私の話が少しでも読んでくださった皆さんの気持ちを軽く、足取りも軽くするものであることを願っています。


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