福島市がパートナーシップ制度導入、県内3例目 一方で「結婚とは全然違う」課題指摘も

7月から、福島市ではパートナーシップ制度が始まりました。性的少数者のカップルに対し、自治体が結婚に相当する関係と証明するもので、これにより、様々なサービスを受けやすくする制度です。福島県内での導入はこれで3市となり、一歩前進ともいえますが、課題も残されています。

当事者は「嫌悪感薄れていくのかな」

7月から福島市でもパートナーシップ制度が導入され、市によりますと、すでに制度を活用したカップルが1組誕生しました。県も秋の導入を目指していて、少しずつですが、制度が広まりつつあります。

ふくしまレインボーマーチ・猪股詢平共同代表「嫌悪感みたいなのがちょっとずつ薄れていくのかなというのは、いい影響として考えられるのかな」

性的少数者への理解を広げる活動をしている猪股詢平さん。自身も当事者の一人で、今回の制度導入については、好意的に受け止めています。

ふくしまレインボーマーチ・猪股詢平共同代表「自分は男を好きになるセクシャリティなんですけど、家庭を持つみたいな幸せは目指せないのかなと思っていました」

親権、配偶者控除 婚姻との違いは

一方で、正式な結婚とは異なるパートナーシップ制度では、法的な効力がありません。例えば、子どもの親権を共同で持つことや、所得税の配偶者控除などは、対象になりません。

制度の広がりとともに、同性婚の導入が必要だと猪股さんは訴えます。

猪股詢平共同代表「ゆくゆくは国としての全国規模のパートナーシップ制度と、その先に同性との結婚が導入されたらうれしいと思います」

受けられるサービス、自治体でも違い

福島県内では、伊達と南相馬、福島の3市が導入していて、県も今年の秋を目指していますが、受けられる行政サービスは、自治体によって違います。

例えば、続柄の変更ですが、南相馬ではできませんが、福島と伊達では、同居人や縁故者に変更することが可能です。同じパートナーシップ制度でも、住むところによって違いが出てきます。

県が制度を導入することで、そうした違いは解消されるのでしょうか。性的少数者の課題に詳しい、福島大学の前川准教授は…。

福島大学・前川直哉准教授「うちのまちは性的マイノリティも含めてたくさんの住民の方を大切にしますよと、1人1人の生活暮らしを大切にしますよというメッセージをそれぞれの自治体が発するのは大事」

そして、これはあくまで行政サービスの話なので、民間の企業などはそれぞれの判断にゆだねられます。そのため、前川さんは、やはり同性婚の議論が必要だと話しています。

福島大学・前川直哉准教授「パートナーシップ認定制度と結婚は全然違う。法的な拘束力をパートナーシップ認定制度は残念ながら持たない」

所得税の配偶者控除や、財産の相続などパートナーシップ制度ではまかないきれないものは、たくさんあります。

日本はG7で唯一、同性婚が認められていない国です。多様性を尊重するならば、一刻も早く、現状を改める必要があると思います。



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