【大分】臓器提供の現状は “意思表示”が大切

6月、大分市の県立病院で脳死判定を受けた男性が臓器提供をしたことが公表されました。

臓器提供の現状を取材しました。

臓器を提供する人、いわゆるドナーになったのはくも膜下出血で入院していた50代の男性です。

臓器提供の意思を示す書面はありませんでしたが家族の承諾があったそうです。

心臓や肺など5つの臓器を移植を待つ患者に提供されました。

ドナーと移植を希望する人をつなぐ県内で唯一の臓器移植コーディネーターである園田さんは男性の家族に臓器提供がどういうものか事前に説明をしました。

県臓器移植コーディネーター 園田美香さん「ご家族が臓器提供の希望をされているということだったので、後悔のないように真摯に取り組まないといけないなと思った」

脳死判定を受けて臓器提供をしたことが公表されたのは県内では今回が2例目でした。

県臓器移植コーディネーター 園田美香さん

「関西や関東圏以外の病院では脳死判定が出来る高度な医療が出来る施設が少ない」

さらに、公表は任意でその実態は把握しにくいといいます。

知っているようで知らない、臓器提供についてパネルで解説します。

臓器提供という言葉は知っていてもその内容について知る機会は少ないものです。

臓器提供が出来るのは臓器移植法で脳死の状態での提供、心臓が止まった死後の提供、この2つと定められています。

また、この脳死と心臓停止後で提供できる臓器も決まっているんです。

脳死の場合は、心臓や肺など7種類心臓が停止した死後は腎臓・膵臓・眼球の3種類のみです。

では臓器提供の現状はどうなっているのでしょうか。

日本臓器移植ネットワークによると2024年5月末時点で移植を待っている人は全国におよそ1万6000人。

一方で、実際に移植を受けられる人は年間で400人ほどにとどまるんだそうです。

内閣府が2021年に実施した調査ではこんな数字もあります。

臓器提供をしたいと考えている人はおよそ4割。

一方で臓器提供についての意思表示をしていると答えた人は10%ほどにとどまります。

臓器提供をする・しないの意思はもっていても表に出していないということかもしれませんが、私たちはいつ、誰でも提供する側、またされる側になる可能性があります。

臓器のドナーと提供を希望する人の橋渡しをする県臓器移植コーディネーターの園田さんは「臓器を提供するのもしないのも、移植を受けるのも受けないのも等しく尊重される。

いつ何があるかわからないだからこそ意思表示をしてほしい」と自分の意思表示の大切さを訴えます。

というのも、提供に関しては最後に判断するのは家族です。

自分や自分の家族にこのような事態が降りかかってきたとき困らないように意思表示は大切です。

ではその意思表示の方法ですが身近なところにあります。

運転免許証の裏面、マイナンバーカード表面の右下にも書き込む欄が設けられています。

そしてこのような意思表示カードが付いたパンフレットも配布されています。

病院の受付などで入手できます。

さらに健康保険証や日本臓器移植ネットワークのホームページからも意思表示が出来ます。

どの方法でも「する・しない」両方から選択できます。

ぜひ確認してみてください。

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