福島芝2000m攻略のカギは4角位置、“マクリ”も有効 騎手別、産駒別データなど東大HCが検証

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コース紹介

今週末は福島芝2000mで七夕賞が開催される。5年ぶりの「七夕決戦」となる同重賞。新潟大賞典2着のキングズパレス、キャリア11戦で【4-5-1-1】と安定感があるレッドラディエンス、同舞台の福島民報杯を制したリフレーミングなど好メンバーが揃った。

GⅢ七夕賞とGⅢ福島記念の2重賞が施行される、この福島芝2000mについて今週はデータ分析を行っていく(使用するデータは2019年7月6日~2024年6月30日の過去5年分)。

最初にコースを紹介する。ホームストレッチの右端にある4コーナーのポケットからスタート。最初のコーナーまでは505mあり、一旦坂を下って上る形となる。1コーナーから2コーナーまではほぼ平坦で、向正面直線からは緩い上り坂となっている。3~4コーナーはスパイラルカーブになっており、残り400m付近からは下り坂になる。そして最終直線の残り約150m地点から再び上り坂だ。最終直線の長さは292m(Aコース時)、コース全体の高低差は1.9mとなっている。

カギは4コーナーでの位置

<福島芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【8-14-10-139】勝率4.7%/連対率12.9%/複勝率18.7%/単回率29%/複回率79%
2枠【9-10-11-155】勝率4.9%/連対率10.3%/複勝率16.2%/単回率52%/複回率60%
3枠【13-12-12-161】勝率6.6%/連対率12.6%/複勝率18.7%/単回率38%/複回率57%
4枠【16-18-13-159】勝率7.8%/連対率16.5%/複勝率22.8%/単回率50%/複回率71%
5枠【18-18-13-160】勝率8.6%/連対率17.2%/複勝率23.4%/単回率71%/複回率96%
6枠【21-15-19-161】勝率9.7%/連対率16.7%/複勝率25.5%/単回率77%/複回率85%
7枠【11-12-23-177】勝率4.9%/連対率10.3%/複勝率20.6%/単回率118%/複回率98%
8枠【18-15-13-181】勝率7.9%/連対率14.5%/複勝率20.3%/単回率69%/複回率81%

枠別成績から見ていく。複勝率ベースでは中~外枠が優勢でやや内枠の成績が落ちる。特に1枠は勝率4.7%、単回収率29%と苦戦しており、予想する上では割引が必須だろう。

一方、過去5年の重賞に限定すると内枠が盛り返す。特に1枠【1-1-3-15】複勝率25.0%、複回収率129%は妙味十分で、2022年福島記念で10番人気1着のユニコーンライオンや2023年七夕賞で13番人気3着のホウオウエミーズと、二桁人気の馬が馬券に絡んでいる。上級条件では馬群に包まれるリスクを、ロスなくラチ沿いを立ち回れるリターンが上回るのだろう。人気薄でも必ず押さえておきたい。

<福島芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【12-9-12-90】勝率9.8%/連対率17.1%/複勝率26.8%/単回率131%/複回率105%
先行【56-57-35-244】勝率14.3%/連対率28.8%/複勝率37.8%/単回率119%/複回率143%
差し【33-40-52-457】勝率5.7%/連対率12.5%/複勝率21.5%/単回率57%/複回率80%
追込【5-5-10-487】勝率1.0%/連対率2.0%/複勝率3.9%/単回率7%/複回率13%
マクリ【8-3-5-14】勝率26.7%/連対率36.7%/複勝率53.3%/単回率206%/複回率240%

次に脚質別成績について。最終直線が短いため、基本的には逃げ、先行馬が有利。どちらも単複の回収率は100%オーバーで、前にいけるという理由だけで紐にいれておく価値はある。また、小回りコースらしくマクリも決まりやすい。4コーナー5番手以内の馬は【86-84-65-429】単回収率114%、複回収率133%とプラス。最終コーナーをいかに良いポジションで回ってくるかが鍵となる。

過去5年の重賞に限定しても、逃げ【2-1-0-7】複回収率144%、先行【5-4-2-27】同95%、差し【2-5-7-46】同74%、追込【0-0-1-49】同6%と、逃げ、先行勢の優位は揺るがない。マクリは【1-0-0-0】とサンプルが少ない。ちなみに勝利したのは2023年福島記念のホウオウエミーズだ。

夏競馬の味方・西村淳也騎手

<福島芝2000m・過去5年の産駒別成績>
ハーツクライ【9-7-10-76】勝率8.8%/連対率15.7%/複勝率25.5%/単回率69%/複回率76%
ゴールドシップ【8-6-1-66】勝率9.9%/連対率17.3%/複勝率18.5%/単回率69%/複回率51%
キズナ【8-4-7-28】勝率17.0%/連対率25.5%/複勝率40.4%/単回率230%/複回率130%

産駒別成績では、9勝でハーツクライ産駒がトップ。距離短縮のローテーションに該当した馬が好成績で【4-1-2-15】複勝率31.8%、複回収率117%を記録。また、上級条件よりは下級条件で活躍する傾向にある。たとえば未勝利戦では【2-1-2-12】勝率11.8%、複勝率29.4%、単回収率156%、複回収率97%をマークしている。

2位は8勝でゴールドシップ。こちらも下級条件での活躍が目立ち、未勝利戦では【6-3-1-28】勝率15.8%、単回収率123%で、勝ち星の大半がここから。また、8勝のうち6勝が先行してのものだった。豊富なスタミナを生かして前から粘りこむのが同産駒の勝ちパターンのようだ。

3位は同じく8勝でキズナ。単回収率230%、複回収率130%と、このコースでは妙味たっぷり。見かけたら必ず買い目に入れておきたい。3歳馬が特注で【5-3-5-10】複勝率56.5%と大活躍。単回収率412%、複回収率217%と、妙味の面でも非常に優秀だ。

今週末の七夕賞では、ボーンディスウェイがハーツクライ産駒に該当する。キングズパレスやアラタなどが該当するキングカメハメハ産駒は【1-6-7-19】で複勝率42.4%、複回収率110%と勝ちきれないものの優秀。レッドラディエンスやノースザワールドなどが該当するディープインパクト産駒は【5-5-3-63】複勝率17.1%、複回収率43%となっている。他では、リフレーミングが該当するキングヘイロー産駒が【2-0-0-3】単回収率262%とプラス域にある。

<福島芝2000m・過去5年の騎手別成績>
丹内祐次【7-2-5-40】勝率13.0%/連対率16.7%/複勝率25.9%/単回率59%/複回率59%
丸山元気【6-5-3-43】勝率10.5%/連対率19.3%/複勝率24.6%/単回率35%/複回率57%
西村淳也【5-6-2-31】勝率11.4%/連対率25.0%/複勝率29.5%/単回率176%/複回率84%

最後に騎手別成績を確認していく。トップは丹内祐次騎手で、前走差しに回った馬が【3-1-3-7】勝率21.4%、単回収率131%と好成績。差し→先行の脚質転換には要注意だ。また、ゴールドシップ産駒との相性が良く【3-1-0-8】勝率25.0%、単回収率149%となっている。

2位は丸山元気騎手。先行した場合は【5-0-0-5】勝率50.0%、単回収率149%。前目のポジションを取りやすい、前走逃げた馬や距離延長ローテに該当する馬が狙い目となる。前者は【1-1-0-3】で複勝率40.0%、複回収率108%、後者が【2-3-1-12】複勝率33.3%、複回収率112%とそれぞれ黒字収支だ。

3位は西村淳也騎手。単回収率は176%とベタ買いしてもいい。夏競馬の頼れる味方だ。5勝全てが1勝クラスで成績は【5-3-1-13】勝率22.7%、単回収率は353%と、この条件には非常に強い。

今週末の七夕賞では丸山元気騎手がグレンガリーに騎乗を予定している。そのほかでは、キングズパレスに騎乗予定の松岡正海騎手は【2-1-1-16】単回収率148%、レッドラディエンスに騎乗予定の戸崎圭太騎手は【5-5-3-19】同67%、ボーンディスウェイに騎乗予定の木幡巧也騎手は【0-1-1-22】で勝ち星なし、複回収率は76%、カレンルシェルブルに騎乗予定の田辺裕信騎手は【5-3-1-14】単回収率117%となっている。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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