米トランスジェンダー選手「髭生やすのも夢」 困難乗り越え…パリ五輪代表入りに感謝「LGBTの皆の愛感じた」

パリ五輪の陸上女子1500メートル米国代表入りしたニッキ・ヒルツ【写真:ロイター】

女子1500メートル代表のニッキ・ヒルツ

パリ五輪の陸上女子1500メートル米国代表に、トランスジェンダーでノンバイナリーのニッキ・ヒルツが選出された。五輪出場を目指し性適合治療を断念。広がる支援に「LGBTの皆の愛感じた」と感謝している。

6月30日(日本時間7月1日)にオレゴン州で行われた五輪選考会で女子1500メートルに出場し優勝。悲願の代表入りを果たした。米放送局「NBC」の番組「トゥデー」は公式サイトに「五輪出場権を獲得したトランスジェンダーでノンバイナリーのランナーのニッキ・ヒルツについて知るべきこと」との見出しでヒルツを特集した。

記事では、世界陸連は2023年、男性として思春期を過ごしたトランスジェンダー選手の女子競技への参加を禁止したことを紹介。出生時に女性が指定されたノンバイナリー選手は、ホルモン治療を受けていなければ、一般的に女子競技への出場は認められている。そのため、五輪出場を目指したヒルツは男性ホルモンのテストステロン摂取を含む性適合治療を断念したという。

ヒルツは2023年、米専門誌「ランナーズ・ワールド」のインタビューで「五輪出場は大きな夢。でも、テストステロンを摂取することや、髭を生やしたり、胸の手術を受けたりすることも、同じように大きな夢だ。だから時々、この競技を憎むこともある」と心情を吐露していた。

それでも、念願の五輪出場権を獲得。優勝した直後、「NBC」の中継インタビューでは「LGBTのみんな、そう、あなたたちが最後の数100メートルで力を与えてくれたんだよ。愛とサポートを感じた」と感謝を伝えていた。さらに、自身のインスタグラムでも「クィアの人々は、私たちが場所を与え、愛し、ありのままを受け入れれば成功できるのです。私にそれをしてくれた全ての皆さんに感謝します」と記していた。

THE ANSWER編集部

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