5万人を受け入れ準備 全国高校総体サッカー、26日開幕

全国高校総体サッカー男子の開幕が迫り、訪れる選手たちを歓迎するのぼり旗を設置する里見さん(左)と旅館スタッフ=いわき市

 今年から本県で固定開催される全国高校総体(インターハイ)のサッカー男子(26日~8月3日)の開幕が近づいている。期間中には選手やスタッフなど約5万人の来場が見込まれ、浜通りでは急ピッチで受け入れ準備が進む。「選手を応援したい」「復興を体感してほしい」。大舞台の成功に向け、関係者も熱い思いで本番を待ち望む。

 「できる範囲で選手をサポートしたい」。選手たちを受け入れるいわき湯本温泉古滝屋(いわき市)の女将(おかみ)里見郁子さん(55)は力を込める。古滝屋では中学生や高校生の県大会で選手を受け入れてきた経験があり「これまでと変わらないので、問題なく準備できている」と里見さん。歓迎ムードを高めようと、旅館前に「ようこそ いわきへ!」ののぼり旗を掲げた。

 古滝屋には1チームが宿泊予定で10部屋ほど用意した。食事は全国高校体育連盟から主食や主菜、副菜などメニューの提示があり、栄養バランスの取れたメニューを朝晩で提供する。サッカー競技は今後4年間の本県開催が決まっており、里見さんは「地域活性化につながる。今後も受け入れて応援したい」と歓迎する。

 暑さ対策、入念に

 大会事務局も成功に向けて知恵を絞る。暑さ対策で期間中の休養日を例年より多く設けたほか、試合の前後で練習や練習試合などができるグラウンドも確保した。運営スタッフでは、浜通りの各高校のサッカー部から延べ約300人が協力し、受付や試合の記録などを担う。田野入清明事務局長(58)は「まずは選手のことを一番に考え、少しでも長く県内でサッカーができる環境を提供したい」と気を引き締めた。

 復興の歩み発信

 県もイベントを計画し、震災後の復興の歩みや本県の魅力を発信する。

 Jヴィレッジでは、施設内を巡るデジタルスタンプラリーや県産品の販売などが行われるほか、県独自の旅行施策「ホープツーリズム」も企画。Jヴィレッジを発着点に双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や浪江町の震災遺構「請戸小」などを訪れるコースを予定しており、担当者は「浜通りに足を運んでもらえる貴重な機会。Jヴィレッジ自体が復興へと歩んできた施設でもあるので、サッカー関係者に復興を体感してもらえるよう工夫していきたい」と意気込む。

 Jヴィレッジなど6会場、熱戦待ち遠しい

 大会はJヴィレッジなど広野、楢葉、いわき3市町の計6会場で開催される。26日に開会式が行われ、27日から試合が始まる。各都道府県の予選を勝ち上がった52チームがトーナメントで争う。本県からは代表枠で帝京安積、開催地枠で尚志の2校が出場。決勝は8月3日にJヴィレッジスタジアムで予定。観覧可能で会場への入場は無料。各会場への案内や駐車場の有無、シャトルバスの運行、Jヴィレッジ駅に臨時停車するJR常磐線特急ひたちなどの詳しい情報は大会ホームページへ。

© 福島民友新聞株式会社