「円安」がロケット開発の追い風に–インターステラ稲川氏

インターステラテクノロジズで代表取締役 最高経営責任者(CEO)を務める稲川貴大氏は7月4日、直近で1ドル160円を超える歴史的な円安水準について「(事業面で)ポジティブな側面が現れやすい」と述べた。

左から取締役 最高執行責任者(COO)の熱田圭史氏、代表取締役 最高経営責任者(CEO)の稲川貴大氏、取締役 VP of Launch Vehicleの中山聡氏、取締役 最高財務責任者(CFO)の辻高広氏

稲川氏は「ロケットは海外に向けて営業するという観点では輸出になる」とコメント。また、自社でロケットの機体のみならず、エンジンを含めて内製化している点を挙げ「モノをどんどん輸入しているわけではなく、円安のデメリットはあまりない」と述べた。

自社開発しているエンジン「COSMOS」の試験用実物

インターステラテクノロジズは、北海道大樹町に本社を置くロケット開発ベンチャー。2024年度以降に小型ロケット「ZERO」を打ち上げを予定している。

ZEROは液体燃料を採用したロケットで、狙った軌道にピンポイントに小型衛星を投入するサービスの実現を目指している。また、将来的な構想として大型ロケット「DECA」の開発も表明しており、開発に向けた概念検討を開始している。

和製スターリンク構想も

同社はいわば「和製Starlink」とも言える低軌道衛星ブロードバンドの提供も目指している。これは、無数の超小型衛星を電磁石で結合し、軌道上に超巨大アンテナを構築する構想で、地上のスマートフォンに直接ブロードバンド接続を提供できるという。

ピンポン玉サイズの超小型衛星を電磁石で結合した「フォーメーションフライト」技術を開発中
シミュレーションの様子

米Space Exploration Technologies(SpaceX)のFalcon9ロケットとStarlinkのように、自社ロケットで自社衛星を打ち上げる垂直統合型のビジネスモデルの確立を目指している。インターステラは衛星事業を「OurStars」というブランド名で展開する。

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