クラブでの悔しさをバネに。“サイドの仕事人”大畑歩夢の覚悟「メダルを獲りにいくので、期待して見ていてほしい」【パリ五輪の選ばれし18人】

パリ五輪に挑む大岩ジャパンのメンバーがついに発表された。ここでは56年ぶりのメダル獲得を目ざすU-23日本代表の選ばれし18人を紹介。今回はDF大畑歩夢(浦和レッズ)だ。

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「(パリ五輪は)もちろん意識はしていますけど、まずは先を見ずに浦和で試合に出るというところが先だと思う。出たいですけど、その気持ちはあまり出さずに、浦和で試合に出続けたい」

これは2月23日、今シーズンのJ1開幕節・サンフレッチェ広島戦後の大畑の言葉。パリ五輪を見据えながらも、目の前の試合に集中していた。

大畑は168センチとサイズはないが、それをも感じさせないパワフルさを持つサイドバック。対人に強く、仮に相手に抜かれても2度追い、3度追いと繰り返し、最後まで粘り強く戦う。積極的な攻撃参加も持ち味で、果敢なオーバーラップからボールを引き出し、効果的なクロスを供給。90分間、上下動を繰り返す豊富な運動量も魅力だ。

サガン鳥栖U-18出身で、2020年にトップチームに昇格。8月にルヴァン杯でデビューを果たすと、翌年にはシーズン途中からスタメンの座を奪い、リーグ戦30試合に出場した。

そして2022年シーズンから浦和でプレー。新天地ではなかなかコンスタントに出場機会を得られず、今シーズンも21節終了時点で、先発出場は4試合のみ。その悔しい思いをバネに代表で奮闘し、U-23のチーム内での地位を上げていった。

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今年4月、パリ五輪出場権をかけたU-23アジアカップに挑むU-23日本代表に選出されると、6試合中4試合でスタメン出場。気持ちの入ったプレーを随所で見せ、「守備面でしっかり対人で負けないところはアジアの舞台でも通用した」との手応えとともに、五輪への切符獲得に貢献した。

そして7月3日、パリ五輪のメンバー発表会見で、大岩剛監督の口から大畑歩夢の名が読み上げられた。

「本当にホッとした感情が一番。個人としては結果、数字を残したい。チームとしてはメダルを獲りにいくので、期待して見ていてほしいと思います。日本のために泥臭く戦って、日本にメダルを持って帰りたい」

自身初の世界大会へ。大畑は準備万端だ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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