【試合詳細】6・30 PANCRASE港区ニューピアホール大会(夜)内藤由良vs アリ・カラダギィ 平田直樹vs Ryo 西尾真輔vs神谷大智

『PANCRASE 345』
日程:2024年6月30日(日)
開始:17:20
会場:東京・港区 ニューピアホール

〜プレリミナリーファイト〜
▼第1試合 バンタム級 5分3R
○友寄龍太(パラエストラ西東京)
判定3-0
●さぶろう(今成柔術)

▼第2試合 ウェルター級 5分3R
●渡邉ショーン(暁道場)
判定0-3
○武者 孝太郎(マスタージャパン東京)

〜メインカード〜
▼第3試合 フライ級 5分3R
○大塚智貴(CAVE)
2R 4分20秒、KO(スタンドのパンチ)
●山崎聖哉(BRAVE GYM)

▼第4試合 ライト級 5分3R
―西尾真輔(宇留野道場)
1R 1分16秒、ノーコンテスト(バッティングによる神谷の負傷でドクターストップ)
―神谷大智(BRAVE GYM)

▼第5試合 コーメイン フェザー級チャンピオンシップ次期挑戦者決定戦 5分3R
○平田直樹(トライフォース柔術アカデミー)
判定3-0
●Ryo(グランドスラム/RINGS)

▼第6試合 メインイベント ミドル級 5分3R
○内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム)
1R 1分52秒、TKO(グラウンドのパンチ→レフェリーストップ)
●アリ・カラダギィ(パラエストラ東京)

内藤由良がアリ・カラダギィに圧倒的な強さを見せ勝利!平田直樹がRyoに勝利しフェザー級チャンピオンシップの次期挑戦権を獲得!

第1試合

1R。友寄がいきなり飛び込んでいく。さぶろうが引き込んで足を狙うが、上友寄がパウンド、ヒジ連打。さぶろうはまた足を狙うが、友寄は上から殴る。
友寄が一瞬立つが、かぶさる。さぶろうガードポジション。モンドは腕を狙うが極められない。友寄がヒジ、ボディを殴って終了。
ジャッジは3名10-9友寄。

2R。パンチを出し合い、さぶろうがハイキック! しかし友寄が強引に投げるとサイドポジション。返したさぶろうがケージへ押し込む。しかし、友寄はすぐに立ち、投げる。
下から足を狙うさぶろう。友寄はこれを外し、ハーフマウント。ひっくり返したさぶろう。しかし友寄がすぐに戻して終了。
ジャッジは3名とも10-9友寄。

3R。さぶろうがスライディングで足狙い。バックを取りケージへ、しかし友寄は上になりパウンド連打。ヒジ、パウンドを打ち込む。さらにマウントに移行するが、さぶろうが返した! 首を狙うが、これも外れてしまう。
返したさぶろうだが、友寄がまた上に。さぶろうはカカト。腕を抜いてパウンドを落とす友寄。さらに終了間際、バク宙からのフットスタンプ! しかし、さぶろうが足で阻止して終了。
ジャッジは3名とも30-27、3-0で友寄がプロデビュー戦を白星で飾った。

第2試合

1R。渡邉がミドル。武者は足をつかみケージへ。投げたいが、渡邉がこらえる。武者はさらにケージへ押し込むが、渡邉が入れ替え、武者はヒジ、ヒザ連打。細かく殴る。渡邉がヒザを入れ、離れた。
渡邉がロー。ジャブ、左ハイキック。武者もロー、ジャブを返す。渡邉がまた左ハイ! 武者が片足タックルからケージへ。殴って離れたところで終了。
ジャッジは1名が10-9渡邉、2名が10-9武者。

2R。渡邉がフェイントをかける。ローから前に出てパンチ。武者がタックルに入るが、笑鍋が潰した。下から細かく殴る武者。片足をつかんでいる。
バックに回った武者。渡邉は腕を狙うが、これは外れた。立ち上がった武者が両足をかかえて尻もちをつかせた。立とうとする渡邉だが、武者はバックに周りヒザ連打。渡邉が正対したところで終了。
ジャッジは1名が10-9渡邉、2名が10-9武者。

3R。お互いロー。武者が片足タックルからケージへ。渡邉が立つと、武者はヒザ。渡邉が入れ替えたが離れた。
渡邉がミドル。武者はその蹴り足をキャッチしてケージへ。バックに回りコツコツ殴る。渡邉は動けない。
残り1分、武者がチョークを狙うが、これは入っていない。最後に腕十字を仕掛けたが、時間切れ。
ジャッジは2名が29-28武者、1名が30-27武者、3-0で武者が勝利。
スタイルの違う両者。渡邉はグラウンドでポジションを取られて自分の土俵に引き込めず。武者はまだ荒削りながら、最後まで極めに行こうとする姿勢が好印象。

第3試合

大塚は2020年よりパンクラスに参戦。2021年にはNBTで優勝しており。現在4位。2連敗中だったが、今年3月、眞藤源太に判定勝ちで連敗を止めた。計量時には「明日は自分の強さを見せる」と力強く語っていた大塚。6位を相手に、上位の意地を見せるか。
対する山崎は2022年より参戦中。昨年はNBT優勝を果たしており、現在6位。NBT明け、今年3月の試合では濱田巧にTKO負けを喫している。今回もランキング上位との対戦。上位を食うか。

1R。お互いロー。両者パンチを振る。山崎が前に出ると大塚が組んでケージへ押し込む。しかし離れた。
大塚がパンチ。山崎もパンチを振っていくが、大塚がプレス。大塚がタックル、テイクダウン。山崎はオープンガード。殴る大塚。山崎は下から三角を狙うが、防がれた。山崎は下からヒジを打つが、大塚はパンチ連打。最後に大きくパウンドを落としてタイムアップ。
ジャッジは3名ともに10-9大塚。

2R。大塚がロー、ジャブ。山崎が飛び込んでパンチ連打、さらにハイキック!しかし、大塚が一気に寄ってテイクダウン!しかし山崎は振りほどいて離れた。
スタンドに。山崎がパンチ。両者パンチを打ち合う。大塚がとらえてバックに回り、テイクダウン。山崎は立ち上がる。大塚、右目をカットしている。
山崎がパンチから一気に入って組み、ケージへ。大塚がパンチを入れて離れた。そして飛び込んでワンツー。右のパンチがあごをとらえ山崎ダウン! 大塚がKO勝利!

【大塚 ケージ上コメント】
「CAVEの大塚です。ちょっと強さを見せられたんですかね。でも、まだこんなもんじゃないんで。まだ隠している武器とかいっぱいあるんで、次もっと期待してください。
あと、すごく応援してくれる人がたくさんいらっしゃったんですけど、去年、僕ちょっと2連敗とかしてて。それでも僕を見捨てないで応援に来てくれて、もう本当に感謝してます。ありがとうございます。本当は前回、立川の時に言いたかったんですけど、判定でマイクをもらえなかったんで、今日改めて言わせてください。これからも僕についてきてください。ありがとうございました」

第4試合

西尾は2022年よりパンクラスに参戦。同年のNBTで優勝している。鍛え上げられた肉体で打撃を得意としている。昨年11月、元修斗王者の松本に判定負けを喫したが、今年3月、余勇利を1RパンチでKOしている。
対する神谷も2022年より参戦している。現在4連勝中。前戦は元ZST王者・平信一からチョークで一本勝ち。打撃の西尾か、組みの神谷か。

1R。神谷がタックルに入るが、西尾が首をかかえる。倒れ込んだ両者。神谷がサイドポジションからボディ、ヒジ。さらにハーフマウントへ移行しヒジ連打。
しかし、脱出した西尾。西尾を追いかけた神谷だが、西尾の頭が神谷の目あたりにぶつかりタイムストップ。
ドクターチェックの結果、眼窩骨折の疑いがあるということで続行は不可能。ノーコンテストとなった。

故意でのバッティングではないことは明らかだが、神谷の傷は深く、続行は不可能。神谷は「くっそぅ……」と漏らし、悔しさを滲ませケージを下りた。

第5試合

2位・平田は昨年よりパンクラスに参戦。ここまで4連勝中でKOP次期挑戦者決定戦にこぎつけた。
対するRyoは2020年よりパンクラスに上がっている。 2022年は3連敗を喫したが、昨年は2連勝。特に、12月の前戦では腕十字で一本勝ちを納めている。タイトルマッチへの切符つかみ取るのはどちらか。

1R。Ryoが前蹴り、ローと足を使っていく。さらにワンツー。平田は右ミドル。Ryoやや効いたか。しかしプレスしていくRyo。平田が右ハイキック。わずかの隙を逃さず片足タックルからケージへ押し込む。両者パンチを出して離れた。Ryoが「来い!」とジェスチャー。
フェイントをかけるRyo。平田蹴り、右パンチ。さらにパンチをたたみかける平田。平田が片足タックル。バックに回ってケージへ押し込んだ。Ryoはヒジを入れる。平田がヒザ連打、投げたところで終了。
ジャッジは3名10-9平田。

2R。Ryoがバックハンド! しかし平田は動じず片足タックルからケージへ、Ryo鉄槌、細かく殴るが、平田は倒してサイドへ。回って脱出しようとするRyo。しかし平田はバックに回る。
平田は立って投げ、バック。首をかかえ直す。根性で立ち上がるRyo。しかしバックをキープしている平田。苦しいRyoはヒジ連打。さらに、ボディにヒジを連打するが、平田が投げると、Ryoはバランスが取れない。平田ヒザ。再び投げるが、バックをキープしたままヒザを打ち込む。Ryoはヒジを連打するが、脱出できない。細かく殴っていくが、平田がバックをキープしたまま終了。
ジャッジは3名ともに10-9平田。

3R。Ryoがパンチ、蹴りで出る。平田ロー。左目が青く腫れている。平田が右ミドル! パンチで出ていくRyoだが、下段がガラ空き。平田が両足タックルからバックを奪う。投げたが、すぐに立つRyo。しかし平田は再びバックを取りケーキへ押し込む。ヒザ。崩すが、Ryoは立ち、離れた。脱出に成功したRyoに会場から拍手が起こる。
平田はパンチからタックルに入るが、Ryoは切る。平田、パンチから胴タックル、ケージへ押し込んでいく。しかしRyo脱出した!
パンチを打ち合う両者。Ryoバックハンド、平田前蹴り。タックルに入られないよう用心しているRyo。平田が右ミドルからとらえた! バックに回ってケージへ。Ryo正対する。平田が投げ! 立ち上がるRyo。さらに平田が投げたところでタイムアップ。
ジャッジは3名とも30-27、3-0で平田が勝利。新居すぐるへの挑戦権を手にした。

第6試合

第15代ミドル級王者・内藤由良が約2年半ぶりの出場。前線は2022年3月の同級王者決定戦。ロッキー川村2を1R秒殺、圧倒的な試合でベルトを巻いた。
もともと日本では少ないミドル級。その後は、なかなか試合が組まれないまま。試合が決まりそうでも、流れたことも何度もあったという。
そんな内藤は、日本での渇仰に限界を感じ、世界を目指す。おそらく日本での最後の試合となる今回、有終の美を飾れるか。

当初はディラ・オサリバンが上がる予定だったが、入国できないという事態となったため、急きょ、クルディスタン出身のアリ・カラダギィが対戦相手となった。
アリはキック等でプロキャリアがあり、ラウェイなども経験しているという。現在はパラエストラ東京で柔術を学んでいる。MMAはデビュー戦。しかし「4年ほど試合をしておらず、闘いに飢えている」というアリ。どのような闘いを見せるのか。

1R。アリが蹴り、ハイキックを見せる。内藤がタックルに入るとギロチンにとる。しかし内藤はハーフマウント。大きくヒジを打ち下ろす。
頭を引きつけるアリ。しかし内藤が頭を抜いてマウントへ。そしてパウンド! アリは下からしがみついているが。攻撃は出ない。内藤がヒジを打ち下ろすとレフェリーが止めた。

TKOで有終の美を飾った内藤。今後はUFCを見据え、海外で試合のチャンスを狙う。内藤の今後の成長と活躍に期待したい。TKO勝ちで内藤にはBRAVEボーナスが贈られたが、破れたアリも、急きょの参戦を決めた勇気を讃えたい。

【内藤 ケージ上コメント】
「本日はご来場いただき誠にありがとうございます。ほんと、試合を受けてくれたアリ選手に大きな拍手をお願いします。
ベルトを獲ってから2年間、試合が水面下で決まったり無くなったりでした。練習はコツコツ続けてたんですけど、(試合が決まらず)何のために練習してるのかというところすごくあって。でも、周りにこんなにたくさん応援してくれる人たちがいるんで、本当にその人たちに支えられてきました。ありがとうございます。
自分の行くところは、もうUFCしか見ていません。皆さんの声が力になります。今後もぜひバックアップしていただけると嬉しいです。
I‘m Japanese No.1 Middle Fighter、内藤だ!! ありがとうございました!」

『334』は、若い選手たちのフレッシュな闘いが見られ、また、勝敗に関わらず選手の意地や闘争心、気持ちがむき出しになった大会となった。
特に印象深かったのが第4試合の小林了平、第6試合の糸川義人。小林20歳、糸川21歳と、将来が楽しみ。
また、勝利はできなかったが、メインイベント・中田大貴の前に出る気持ちにも心打たれた。今回は届かなかったが、次戦でのさらなる成長を期待したい。

『345』でも、若い選手たちの闘いが光った。プレリミではキャリアの浅い選手たちが闘ったが、それぞれのカラーが伺える興味深い内容となった。
また、第3試合では大塚智貴がキャリア初のKO勝利。本人が語った通り、新しい武器を手に入れているようだ。今回は強い気持ちも感じさせ、次戦への期待が高まる。

試合数は多くなかったが、さまざまなドラマがあった『344』並びに『345』。特に若い選手たちが出てきていることを感じさせられた。この選手たちが、今後のパンクラスをますます盛り上げていってくれるのが楽しみだ。

(写真・文/佐佐木 澪)

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