アストラムライン、7年ぶり債務超過 2023年度決算、車両更新などで経費膨らむ 24年度も赤字見通し

アストラムラインの新型車両

 アストラムラインを運行する広島高速交通(広島市安佐南区)が2023年度決算をまとめ、7年ぶりに債務超過となった。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ乗客数は回復傾向にあるが、車両の更新などで経費が膨らんだ。今後も乗車券システムの変更に伴う設備投資が控えている。

 同社によると、23年度の当期純損失は2億3491万円を計上し、4年連続の赤字。累積損失は102億3401万円となり、資本金100億円を上回った。19年度から続ける車両の更新などの負担が要因という。1日当たりの平均乗客数は6万3782人。新型コロナ禍で5万人台に減っていたが、4年ぶりに6万人台に乗った。

 同社は05~16年度も債務超過だったが、15年3月の新白島駅(中区)の開業を追い風に17年度に解消していた。平山睦喜常務は「車両への投資で赤字になる年もある前提だったが、コロナ禍による乗客の急減が響いた。ただ、債務超過になっても資金繰りは問題ない」と説明する。

 24年度は、1日当たりの平均乗客数は過去3番目に多い6万5385人とはじくが、車両更新が続き、当期純損失は4億8435万円を見込む。さらに今年11月末までにカード型IC乗車券PASPY(パスピー)の運用を終え、JR西日本のICOCA(イコカ)に切り替えるため、改札や券売機の改修費約19億円の支払いも25年度以降に発生する。

 平山常務は「現時点で黒字化できる時期は明言できない」と話している。

© 株式会社中国新聞社