ホーム無敗継続で今季初の連敗は2でストップ…鬼門のアウェーに清水エスパルス・秋葉監督「相手を見過ぎてしまった」

サッカー・J2の第22節で岡山に勝利し、今季初の連敗を2で止めた清水エスパルス。首位・長崎との勝ち点差は1の3位に踏みとどまった。再びの上昇気流に乗るべく、次節は今季まだ負け知らずのホームで千葉を迎え撃つ。

“己”を貫き続ける意味

第22節に清水エスパルスが対戦した岡山の主将は竹内。昨季までエスパルス一筋でプレーし、クラブの精神的な柱となっていた男だ。

岡山は立ち上がりから引いて守ることなく積極的な攻撃を仕掛け、エスパルスに襲い掛かった。

守護神・権田とディフェンス陣の踏ん張りがなければ試合展開がどうなったかわからないゲームだったが、前半20分に原からクロスを受けたカルリーニョスが左サイドのペナルティエリア外から右足一閃。豪快なシュートをサイドネットに突き刺した。

その後、浅いラインを突破され同点で試合を折り返すも後半3分。

コーナーキックから立て続けにゴールへ詰め寄ると最後はカルリーニョス。今季初の複数得点を記録し再びリードを奪う。

ただ、上位に立つ長崎・横浜FCと比べて得失点差が圧倒的に少ないエスパルス。少しでも積み増しを図るべく後半30分にサイドバックの北爪と中盤の矢島を投入した戦術がピタリとはまる。

交代から4分後、右サイドでボールを受けた矢島が走り上がって北爪につなぐと、北爪はドリブルでタイミングを計り矢島の前に流す。すると、矢島もまた距離を詰めるディフェンスとのタイミングを計りつつ、右足を強振するとボールはサイドネットに飛び込み勝負は決まった。

試合前、選手たちには今季ホーム初黒星を喫すればリーグ戦3連敗というプレッシャーがかかっていたのは言うまでもない。

だが、ホームでの無敗を支えているの“攻守においてアグレッシブ”という自分たちのサッカーに徹してきた結果だ。それだけに指揮官は、アウェーで苦戦を強いられていることについて「相手を見過ぎてしまった」と反省する。

千葉戦でも変わらずに“己”を貫き続けることができるのか…それが首位戦線に留まり「優勝してJ1昇格」という目標を達成するカギとなるだろう。

秋葉監督「良さを出すことが大事」

-いよいよ暑さとの戦いが本格化しつつある
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
暑熱順化など対策をしている。練習後にすぐ水風呂を浴びられるように準備した。発汗によって体重が2パーセント減るのはよくないと言われている。栄養や食事、水分の摂り方、睡眠やクーラ―の使い方などを含めて、あとは選手と実行しながら夏を乗り切って行きたいと思う。

Jリーグの調べでは夏場に10パーセント以上も強度が落ちると言われている。日本の特別な夏。この3連戦をぬかりなくやって8月を乗り切るためリカバーとブラッシュアップが大切。

累積警告で乾とカルリーニョスの2人が出られないものの、ここでこそ厚い選手層が活きる時だとも思っている。全員で取り組みたい。

-千葉に対する印象
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
リーグ戦も2周目に入って、1回目の印象で対策を練ってくる。なので、フレッシュさとハードさが重要。

その中でしっかりとフットボールをする千葉というチームの方が我々としてはいいし、攻守においてアグレッシブという原点回帰できる。

ボールゲームを90分やってどちらが勝つかという方が自分たちの力が発揮しやすい。ホームのアイスタでサポーター・ファミリーの力を借りて最高のゲームをしたいと思う。

-次戦に向けたプラン
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
ホームの良さ、相手のコンディションもあるが、これまでアウェーでは特に相手を見過ぎてしまったと自分は反省している。我々の良さを出すことの方が大事だった。

自分たちの力を発揮することに主眼を置きながら、それプラスで相手との組み合わせや噛み合わせを考えたい。まずはウチらしくやる。その方がいいと思っている。負けてはいけないが、負けてもその方がいい。モヤモヤが残らない方が次につながる。ホームでそうしていることが、この成績につながっている。

アイスタのいい雰囲気の中で、「ウチは清水エスパルスでしょ!」という自分たちが何をしたいかに着目してやりたい。

-当日は岡崎慎司 氏の引退セレモニーがある
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
自分とは代表のコーチをした際に少し接触があっただけだった。今は「練習に来てくれ」と声掛けしているが、指導者としてなかなか忙しそう。

だが、うれしい。「エスパルスが自分の原点だ」とか発言してくれているし、チームで8番目のフォワードから這い上がり、代表に名を連ねた選手が言うことだからこそ実感が伝わるし説得力がある。

いま悔しい思いをしている選手たちに“あんな先輩がいる”と影響を与えてくれるOBがいるのはクラブの財産で素晴らしいこと。大切にしていきたい人材だし、そんな選手がどんどん出てきて欲しい。

矢島選手「毎試合が勝負」

-岡山戦は交代直後に勝ち越し点を決めた
清水エスパルス・矢島慎也 選手:
交代で途中から出て、次の1点がお互いの勝負を決めることは意識していた。とりあえずボールを受けるところと、前に入って行くところは監督から指示があり、北川選手とうまくスぺースを使いながら点を獲ることができた。

あの1点を決めることが大事だったので、相手ベンチ前でも結構喜んでしまった。敵が来たのも見えていたので、うまく股を通して低くファーサイドに決めようと思った。そうすれば弾かれても北川選手が中から詰めてくれると思っていた。

-連敗を脱出した
清水エスパルス・矢島慎也 選手:
連敗は脱出できてホッとした部分はあるが、上位チームとの差があることへの危機感は実は1位を独走していた時から持ち続けていた。リーグ戦はまだ終わりじゃないし、順位が上がったわけでもない。そうした気持ちが大事になる。

-千葉戦は乾とカルリーニョスが不在になる
清水エスパルス・矢島慎也 選手:
千葉は攻守においてアグレッシブに押し出してくるイメージ。マンツーマン気味にやってくるチーム。相手の後ろ側と手前側を上手く使い分けて攻めるのが大事かなと思っている。

また、セカンドボールを厳しく獲ってくるので、そこを制することが大事。相手の手前と後ろを使い分けて攻めるべきだと思う。

自分の気持ちは毎試合が勝負。連勝していた時にもそうだったが、良くないプレーがあればレギュラーポジションから外されるという危機感を個人的には常に持っていた。また、結果残し続けたとしてもレギュラーで出られるという保証はないということを厳しく意識している。

北爪選手「自分達らしく戦えれば」

-岡山戦は交代出場して活躍を見せた
清水エスパルス・北爪健吾 選手:
途中交代の時点で2対1となり、まずは相手にやられないこと、守備の強度を上げた上で時間を進めたり、相手の裏のスペースを狙ったりしていた。

矢島選手のコンビで攻略することができたし、自分らしいプレーはできた。修正しなければならないことはあるがチームに貢献できたと思う。

-千葉はプロのキャリアをスタートさせたクラブ
清水エスパルス・北爪健吾 選手:
チームを離れた時から、成長した姿を見せ続けることでしか在籍したクラブへの恩返しというのは、選手としてはそれしかないと思っている。意識はしているチームで、去年の国立競技場での戦いは2対2という悔しい結果だった。

今回はアイスタでの対決、勝ち点3を獲る準備はできている。自分達らしく戦えればと思っている。今から楽しみで早く試合がしたい。

今の千葉は厳しくてタフで強度もあり、前半戦で苦戦した。やりにくいアグレッシブなチーム。そして、越えなければならないチーム。厳しいゲームになる前に、最初から相手の良さを出させない、自分達が上回る状況を作り出すべき。そのために対応する勝つための準備はできている

-千葉とはお互いにオリジナル10
清水エスパルス・北爪健吾 選手:
あまり軽々しくは言えないが、両チームとも歴史があり、その双方に所属できた誇りを持っている。

だが、今は清水エスパルスの選手であり、どんな相手に対しても勝つことだけを考えているし、自分がチームに貢献できることを常に意識して準備している。その試合で結果を出せば評価もついてくると思う。相手が強いほど評価になることがやる気を上げる。

去年のJ1に上がれなかった悔しさは今も残っている。どんな相手だろうとみんなが求めている勝ち点3に向けて、結果にフォーカスして勝利をつかむためのプレーをしたい。

-非常に暑い過酷な条件になりつつある
清水エスパルス・北爪健吾 選手:
暑さ対策はこれといってやっていないが、暑いのは好き。夏場のゲームは体力の違いが大きく出てくる。

相手が動かない時とかに出たいという感じ。群馬の出身で、中高大の学生時代から暑いことには慣れているし、学生時代は1日で2試合・3試合と平気でやっていた(笑)苦手意識はないし、体の方は丈夫だし、問題ない。チームが必要な時に動けることをアピールし続けたいと思っている。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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