昔のパチスロと今のパチスロ、どこが違う? 射幸性が高くても大勝ちするまでの道のりが……

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僕は2000年代初頭からパチスロをやるようになった。同級生のほとんどは既にパチンコホールに通わなくなったが、今も数名は暇を見つけてパチスロをしている。

そんな同級生と先日、万枚期待度についての話をする機会があった。万枚とは等価換算で20万円ほどの出玉を指すワードで、1万枚のメダルが出た時に「万枚出たわ」と言うのがスロッターの習わし。

その昔。20年ほど前はこの万枚が出やすい台は結構多かった。その代わりハマリもきつく、そのせいで消費者金融で借金をして打っちゃう依存症もまた、多かった。

たしかこの頃は全国的にも、今より遥かにこの手の借金苦で自死する人が大勢いたと思うが、やがて射幸性は抑えられていき、この2000年代前半の4号機時代は00年代半ばに5号機時代に移行。コイン持ちが良くて遊技性が射幸性を上回る、遊べる5号機が台頭することになる。

もっともユーザーは射幸性を求めていたし、メーカーもホールも設けるために、結局5号機時代の終盤にはコイン単価の高い台が増えていく。やがてこれはダメだ、とお上(警察庁)から指摘があって6号機時代が訪れ、ますます遊べるだけの機種が増えていったが、結局これも2022年ごろにはまた射幸性のマシマシな台が登場。

現在ではかつての高純増4号機のコイン単価に迫る勢いの、非常にギャンブル性の高いスマスロがホールに導入されまくっている。(文:松本ミゾレ)

昔のスロット事情はまさに鉄火場だった!

冒頭でも書いたが、僕はもう40歳になったというのに未だに同級生とパチスロの話をするイタいところがある男だ。

20年前のパチスロ事情を知る人なら納得できる話だと思うんだけど、とにかくコイン持ちが悪く、一撃5000枚のフラグを狙って無謀な勝負をする人が大勢いたのがあの時代。そのフラグだって1/8192という重い確率だ。1日に1回出るか出ないかというフラグだし、そうそう都合よく引けるものでは断じてない。

だから、こういう機種……ってかもう機種名を出すと初代『ミリオンゴッド』だけど、ミリゴにハマっちゃった人の収支は散々なものだった。でも、引けるときはそういうフラグも引けるんだよね。僕が見ただけでも、一撃で60万円分のメダルを出している人って3人いたし、聞いた話では100万勝ったって人もいたようだ。

でも結局、トータルではさすがに負けてそうだけど。まあ、こういうピーキーな台がかつてあって、自殺者が出たものだから状況は変わることになったんだよね。ただしネット上では今も、こういう鉄火場状態だったホール事情を懐かしむ声がある。

5ちゃんねるにも「昔のスロ業界『一日で100万勝ち!』『熱い台教えたる!』『イベントやるぞ!』」というスレッドがあった。寄せられた書き込みに、往時の状況を知る人の声もあるんで、ちょっと引用してみよう。

「ホールの便所で自殺した人おったなぁ」
「出玉ランキングが店内に貼り出されてたな」
「頻繁にトイレで自殺者でてたぞ」
「10万負けから6万取り返して鮮やかに勝てた時代やな」

こんな具合で、昔のスロット周りの話を懐かしむおじさんたちの声がよりどりみどり。本当に比喩でなく、便所で自死する人っていたんだよね。今よりも遥かに多く。

近所のホールもそのせいで便所の改装工事との名目で数日間営業を休止していたし、再開後は悪い噂を払拭するため。めちゃくちゃ出してたなぁ。

今のパチスロ、正直設定だけでは大勝ちできない不安定さがネックです…

しかしながら、現在のスマートスロット。通称スマスロもまた、4号機時代を知る僕にしてみれば恐ろしい。なにせメダルを筐体に投入する手間がないので、デジタルのセグ上で自分の金が減ったり増えたりする。これが怖い。

今、いくら使ったのかということを数字だけで把握し、手指を使って紙幣を失う感覚が伴わないというのは、どうにも自分のお金の使い方を麻痺させるように思えてならない。

また、とりあえず初当たりを引けば期待獲得枚数もそこそこ高かったのが以前のパチスロ。
ところが今は、初当たりボーナスを引いてから下位のATに入れるだけでは出玉性能はお話にならないほど低い。

ここからさらにあり得ないミラクルを2回か3回自力で引き寄せて上位のATに入れることで、初めて獲得枚数が多く期待できる時代になっている。この違いをしんどく思う人は、かつてのパチスロを知る人に多いはずだ。

要は5号機の射幸性が高かった時期までは、一度に1000Gも2000GもATのG数を乗せることはたまにあったんだけど、今はそういうことはあり得ない話になっている。2400枚ほど獲得した段階で一度継続ジャッジみたいなゾーンに突入し、そこで継続をパスすれば上位に入ったりするようになった。

出たら出っぱなしってことではなくなってしまい、これによって最初にデカく乗せてさっさと万枚を射程圏に捉える打ち方は難しくなっているのだ。

もちろん、液晶表示上では今も最初に1000G乗せが目撃されることはある。しかし6号機、スマスロでは有利区間到達。もしくはそうでなくても2400枚区切りで一旦継続ジャッジに入るので、たとえまだ数百GものATが残っていたとしても、それは切り捨てになる。僕もこの仕組みのせいで数十万円分相当のヒキ損をやらかしているので、本当につらい。

振り返れば20年間、ずっとパチスロで負けなしだったのに、6号機やスマスロの時代になってから、もう50万円近く負けている。昔勝てていた立ち回りがもう通用しない時代になった、ということなんだろう。

2024年は既に30万円のマイナスを計上。コイン単価は高いのに、いざ打ってみるとなかなかイレギュラーな出玉の爆発を許してくれないというのは、とにかく冒頭で大きく乗せるという方法でしか勝てなかった僕にとってはしんどいなぁ。それでも昔ほど自死する人の話を聞かないのは、やっぱり腐っても依存症対策は奏功していたってことなんだろうね。

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